ミャンマーで総額300億円以上の不動産開発事業を進める日本の官民連合が、ホテルやオフィスなど複合施設を建設する用地の賃料を支払い、それが最終的にミャンマー国防省に渡っていたことが分かった。ロイターが取材した複数の日本企業、政府関係者が認めた。

 「ヤンゴン市内都市開発(Yコンプレックス)」と呼ばれるこの事業が、ミャンマー国防省の利益につながっていたことを日本側が認めたのは初めて。日本側は賃料の支払先が国防省であり、ミャンマー政府だと認識していたが、国防省は2008年に制定された憲法上、国軍の支配下にある。

 同事業には日本から大手ゼネコンのフジタコーポレーション、大手不動産の東京建物のほか、日本政府が95%を出資する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が参画。政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)も融資をしている。

 賃料を支払うのは違法ではないものの、事業が始まった2017年は、ミャンマー国軍によるイスラム教徒の少数民族ロヒンギャへの人権侵害が問題となっていた。国際司法裁判所は虐殺について調査を進めている。国軍は今年2月には軍事クーデターで政権を奪い、これまでに、抗議活動に参加した市民260人以上を殺害している。

 ミャンマー国防省、国軍のコメントは得られていない。国軍はロヒンギャへの行為を武装勢力を対象にした「掃討作戦」だとし、ミャンマー政府は人権侵害や虐殺との国際社会からの非難を虚偽と否定している。クーデターで多数の死者が出ていることについては、抗議に参加した市民の責任だとし、放火や暴力行為を非難している。

軍事博物館跡地に商業施設

 Yコンプレックスはシュエダゴン・パゴダ通りや中央駅に近いヤンゴン中心部の陸軍の所有地にあり、ミャンマーを60年近く支配してきた国軍に関係した資産の1つ。現地企業を介して賃料を支払っている日本側は、受け取り手はミャンマー政府であり、国軍ではないと認識していた。

 JOINによる同事業への出資を認可した国土交通省はロイターの問い合わせに対し、国防省は政府機関であり、軍とは「直接的にも間接的にも」関係ないと判断していたと回答した。国防省は、軍事政権時代に起草され2008年に制定された憲法上、国軍の支配下にあるが、この点についてはコメントを控えた。

 フジタと東京建物が、ヤンゴンの軍事博物館跡地にオフィスや商業施設、ホテルを建設・運営する事業に乗り出すと発表したのは2017年。JOINを含めた3社で作る特別目的会社を通じ、ミャンマーのヤンゴン・テクニカル・アンド・トレーディング(YTT)社と現地プロジェクト会社を設立し、総事業費は約377億円を計画している。

 フジタ、東京建物、JOINはそれぞれロイターの取材に対し、共同で作った事業体が土地の賃料を支払っていることを認め、賃料は現地パートナーのYTT社を介して支払っていると説明。YTTは、農業や銀行、医療、不動産を手掛ける民間の複合企業アヤヒンターホールディングス傘下にある。JBICは2018年、特別目的会社との間で融資契約を結んでいる。

 ロイターは、日本側から国防省に渡った賃料の総額を確認できていない。フジタ、東京建物、JOINとも、これまでに支払った賃料の総額、国防省に渡った総額にはコメントしなかった。

 YTTのKyi Tha氏によると、土地は国防省からのリースで、最終的に収益を受け取るのはミャンマー政府となる。法律や規則で義務付けられていないとして、ミャンマー国軍による人権問題を精査する特別な措置は取っていないという。

 加藤勝信官房長官は24日の記者会見で、JOINとJBICが特別目的会社を通じて事業に関与していることを認めた上で、いずれも国軍と直接取引をしていないと語った。

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