日経ビジネスとドイツの調査会社スタティスタ(Statista)は共同で、日本の成長企業を発掘する調査プロジェクト「日本急成長企業2022」を実施し、各社が回答した売上高の伸び率が大きかった上位100社のランキングを作成した。新型コロナウイルス禍で一気に強まった企業活動のデジタル化などの波に乗り、事業規模を拡大させた企業が目立つ。

調査に応募した企業の2017年度と20年度の売上高のデータを基に年間平均成長率(CAGR)を算出した。20年度は新型コロナの感染拡大の1年目にあたり、多くの産業が消費低迷などの影響を受けたが、そんな中で事業機会を見いだし成長を果たした企業があったことが調査によって示された。
首位となったのは成長率が248%だった筑波大学発のスタートアップ、ピクシーダストテクノロジーズ(東京・千代田)だ。メディアアーティストで情報学を専門とする研究者としても知られる筑波大准教授の落合陽一氏がCEO(最高経営責任者)を務める。
同社は視覚や触覚を利用したシステムの開発・提供を行っている企業だ。コロナ下では室内の感染リスクを視覚的に見せるシステムを開発し、東京建物と協業してオフィスの感染リスクを評価するサービスを始めた。そのほか、大日本住友製薬と難聴者が口頭での会話内容を視覚的に把握するスマートグラスの開発などに取り組む。
2位は成長率195%で、省人化ホテルの運営やホテルに関するコンサルティングを手掛けるリクリエ(福岡市)だ。ホテルのフロント業務を無人化するためのセルフチェックインシステムを開発。フロントに置いたタブレットで暗証番号を発行し、部屋の電子キーを開ける仕組みをビジネスホテルなどに納入している。
3位は人工知能(AI)に関するサービスを行うAI inside(東京・渋谷)だ。書類を読み取り、文字などをデータ化するシステムなどを提供している。注文書やアンケートを自動でデータ化するため、行政機関やメーカーなど幅広い業種で使われている。
100位までに最も多くランクインした業種は情報通信業で28社だった。次点で学術・専門・技術サービス業、製造業、不動産業・物品賃貸業と続いた。
情報通信業の内訳を見ると、AIに関するサービスを提供する企業や、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するサービスを提供する企業が目立った。デジタル化ニーズの増大が成長の原動力となったことをうかがわせる。
本社を東京に置く会社が多く、全体の6割を占めた。上場している企業は全体の約2割で、8割は未上場企業。11年以降に創業した企業が7割以上だった。
スタティスタは英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)と共同で、アジア・大洋州地域(中国は対象外)の成長企業も調査し、上位500社をランキングしている( FT ranking: Asia-Pacific High-Growth Companies 2022)。
日本企業は500社中約170社を占め、国別でトップとなった。インドの約100社、シンガポールの約60社が続いた。日本急成長企業2022で首位となったピクシーダストテクノロジーズはアジア・大洋州のランキングでは13位だった。
次ページにランキング表を掲載する。
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