これは、ポルシェ本社のあるシュトゥットガルト近郊のルートヴィヒスブルクに置かれたデジタル戦略を担当する子会社だ。巨大なレンガづくりの倉庫を改装したオフィスは、ポルシェというよりまさにITベンチャーの雰囲気だ。独自サービスの開発をはじめ、新技術を保有する企業や新技術を開発するベンチャー企業などとの連携を推し進めている。

ポルシェデジタル社のCEOは、ITに関するトレンド調査や企業コンサルを担当する米国シリコンバレーの企業、ガートナーの元副社長ティロ・コスロフスキー氏が勤める。設立当初はポルシェ本社の近くで創業することを条件にルートヴィヒスブルクで3人で始めたものが、現在はシリコンバレー、イスラエルのテルアビブ、中国の上海、ドイツのベルリンにもオフィスを構え、従業員数は約3年で80名にまで増えたという。

ポルシェがサブスクを導入した狙い
すでにポルシェ自らが、カーシェアリングやサブスクリプション(定額制)サービスを手掛けていることは、日本にいる我々にとっては驚きだ。どんな狙いがあるのか、記者会見後、この領域を担当するメシュケ会副会長を直撃した。

ポルシェのようなプレミアムなスポーツカーメーカーが、なぜデジタル化を進めるのでしょうか? 若い顧客層を開拓したい狙いがあるのでしょうか?
ルッツ・メシュケ氏(以下 メシュケ):若い顧客へのアピールの意味もありますが、今や老若男女、誰もがスマートフォンを使う時代です。すべてのお客さまからデジタルのニーズは寄せられており、これからコネクティビティは100%無くてはならないものになっていくでしょう。近い将来、デジタル化できていないがゆえに、ポルシェといえどもプレミアムブランドでなくなってしまう可能性もあるのです。
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