3月18日、日本のオフィス不動産に、海外投資家からのマネーが流入している。写真は都内で2019年10月撮影(2021年 ロイター/Peter Cziborra)

 日本のオフィス不動産に、海外投資家からのマネーが流入している。新型コロナウイルスの影響もあり国内企業の自社ビル売却や郊外型オフィスへの移転が活発化しているが、海外勢の需要は逆に増加。不動産全体の購入シェアは2007年以来の高水準となった。収益性の高さや、1件あたりの投資額が大きいといった魅力があると指摘されている。

投資規模の大きさが魅力

 相次ぐ自社ビル売却の背景には、最近の日本の不動産市場が「売り手市場」になっていることがあると、ニッセイ基礎研究所の金融研究部・佐久間誠氏は分析する。海外投資家のマネーが日本に流入していることで、売却しやすくなっている面があるという。

 「手元資金の確保やテレワーク普及によるオフィスの見直しなど、売却する理由はそれぞれ異なるが、投資家にとっては、カネ余りの状況が続き、好立地で条件の良いオフィスビルであれば安定的な利益を生み出すことができるため、投資対象として魅力的に映っている」と佐久間氏は話す。

 不動産サービス大手のJLLがまとめたデータによると、グローバルベースの不動産直接投資総額では東京が20年は3位と前年の6位から上昇。日本の不動産を購入した海外投資家の割合は同期間で34%に達し、07年以来の高水準となった。

 JLLのリサーチ事業部・ディレクターの大東雄人氏は、1つの物件で数千億円規模のアセットが存在する東京は、世界的にみてもまれな都市だと指摘する。「他のアジアのマーケットでは売却案件が少なく、アセットの規模も小さい。海外投資家にとって、分散投資の対象として東京は外せない」という。

 自社ビルの売却は1000億円単位の規模に達する物件も多くなるとみられ、海外投資家にとっては魅力的だ。

●最近の自社ビル売却(検討含む)
売り手 所在地 買い手 売却額
エイベックス 東京都港区 約720億円
電通グループ(検討中) 東京都港区
日本通運(検討中) 東京都港区
近鉄グループ 非公表 子会社が保有するビルを複数のファンドへ売却 約400億円
リクルート 東京都中央区 ヒューリック 非公表
続きを読む 2/2 空室率は上昇も収益率はプラス維持

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