景気は上向かないながらも、3月1日、2023年卒の新卒採用が解禁した。採用のトレンドを追うために、毎年、就職サイトの掲載企業数や求人の傾向分析を定点的に実施しており、その中で分かった気づきについて紹介していきたい。
23年卒採用は増加の見込み
2023年卒は航空業界やホテル業界で新卒採用が再開されるなどして、新卒採用企業数は増加すると予想されていた。その予想通り、就活向けWebサイトの主要大手3サービス(マイナビ・キャリタス・リクナビ)でも、掲載企業数は増加傾向となった。
サイト掲載企業数は、3月1日時点で延べ5万5299社。前年比で1.08倍だ。
エントリー受付企業数は、1.13倍と昨年よりも大きく増える結果となっている。中でも面白いのが説明会情報を公開する企業で、延べ2万8139社。前年比で1.28倍となっている。売り手の採用といわれていた20年卒時よりも多くの企業が説明会の予約を受け付けている。
企業の採用意欲が高く、早く学生と接点を持たないと、自社が採用をしたいと思う学生に出会えないかもしれないという危機感がある。そのため、インターンシップの時期から学生との接点をつくろうとする。また、オンラインツールを通じての接触機会も非常に増えた。それだけでなく、SNSの情報発信を通じた企業やその業種、仕事を志望する動機づけや接点を作るということなど、企業に対する興味醸成は、以前よりも容易となった。
サイト掲載企業数の増加の内訳を見てみよう。3サービスともに増加しているが、今年大きく伸ばしたのはリクルートだ(前年比1.17倍)。過去記事「新卒市場をけん引したリクナビが一人負け、業界3位に停滞する理由」で解説したように、約9カ月前に低調だったリクルートでも、今は復調傾向にある。
※参考の過去記事「新卒市場をけん引したリクナビが一人負け、業界3位に停滞する理由」
23年卒は企業の立場からは人材採用が激化する年になり、学生の立場では内定を取るまでの難易度が低下した状況にあると言える。
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