東京五輪の聖火が3月25日から全国を巡る。聖火ランナーが駆け抜けていった地域で五輪への期待感が高まり、7月23日に開会式場となる国立競技場に聖火が到着したとき、日本中が熱狂する……、はずだった。

 しかし計画は出走前からつまずいている。著名人の間でランナーの辞退が相次いでいるのだ。お笑いタレントの田村淳さん、人気アイドルグループのTOKIO、俳優の常盤貴子さん、渡辺徹さん、歌手の五木ひろしさんなどの辞退が次々と明らかになった。

東京お台場に設置された五輪のマークはどこか寂しげだ(写真:AFP/アフロ)
東京お台場に設置された五輪のマークはどこか寂しげだ(写真:AFP/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染が収まらない中で、政府や東京五輪・パラリンピック組織委員会が今夏の五輪開催を目指していることに、国民の多くが疑問を感じていることと無関係ではないだろう。実際、田村さんは「森喜朗・前組織委員会会長の『東京五輪は新型コロナがどんな形でも開催するんだ』との発言が理解不能だ」として、辞退したことを明らかにしている。

今夏の開催、大多数が反対

 政府や組織委員会は感染防止策の一環で、観客数の削減や無観客での開催、海外からの観客受け入れ断念などを検討中だ。しかし、そうまでして開催すべきだという国民は少ない。

 日本経済新聞社がこのほど実施した世論調査では、「感染対策を徹底したうえで予定通り開催すべきだ」と回答した比率はわずか15%だった。感染拡大が続くなら「中止もやむを得ない」と46%が回答し、36%が「再延期もやむを得ない」と答えた。コロナ禍の中での開催を大多数の国民が望んでいないことを物語る。

 国民の大半が望んでいない以上、このまま開催しても大会は盛り上がりに欠けてしまう。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、「大会に熱気がなければ、経済損失も大きくなる」と語る。

 宮本氏は「街コン」から「阪神タイガースの優勝」まで、様々な経済効果の試算で知られている。先ごろ、東京五輪の観客を制限した場合の経済損失をはじき出した。

続きを読む 2/2 完全な形での開催は絶望的

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