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 樋口さんは、自身も自閉症の息子を持つ。日本ではチャリティーのみならず、知的障害に対する理解は、いわゆる身体的な障害よりも遅れている、と感じているという。「相模原の殺傷事件で犯人が述べた言葉は、我々の心から離れない。常にそういう視線を感じている家族は多いと思う」

 こうした知的障害への誤解や無理解も、ロンドンマラソンで行われているように、寄付先に知的障害に関する団体を増やすことなどによって打開できるのではないか、と樋口さんは考えている。

 欧州連合(EU)離脱騒動で、社会に癒しがたい分断の爪痕の残る英国だが、ロンドンマラソンが掲げる理念の一つは「人間は時に、一つになることができる」だ。社会にどんな困難が生じていようとも、少なくとも大会当日だけは走ることを通じて団結し、どんな人も置き去りにしない、と言う理念が、チャリティーの精神に通じているのではないだろうか。