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 今年の1月から週4回の早朝トレーニングを開始した。冬季は極端に日照時間の短いロンドンで、暗闇と寒さの中、勤務時間前の走り込みは厳しかったという。食事制限を行い、余暇を楽しむ時間も減らした。

 誓約した寄付金は2500ポンド(約37万円)。高額だが、ディナーパーティーやダンス教室、抽選会などを通じて寄付を募り、多くの人たちから支援を受けることができているという。

 「父の病気を治すための資金を集めるという目的がなければ、完走することはできないだろう。私が集めるお金が新薬の開発へと繋がり、父と同じ病を抱える多くの人たちを今後治療できるようになればと思う」

 「父もランナーだったということ自体がとても特別な事だし、完走できたらどんなに誇りに思ってくれるかという気持ちが、辛い時を乗り越えさせてくれる」と語った。

 2014年と15年、ロンドンマラソン と併催される世界パラ陸上マラソン・ワールドカップに、視覚障害部門の道下美里選手(リオ・パラリンピック銀メダル)のガイド・ランナーとして参加した樋⼝敬洋さん(43)は、英国と日本でのチャリティーランに対する社会的な理解の差について、こう語る。

道下美里選手(中央)と樋⼝敬洋さん(左)

 「日本人は、何か力になりたいとは思っていても、何をすれば良いのかわからない、勝手な行動をして恥をかきたくない、と思う人が多いのでは? そして、チャリティーなどの行動をしている人に対して、心無い言葉を投げかけてしまう人もいる。不器用なんだと思う」

 「決して偽善でなく、チャリティーなどを当たり前のこととしてできる文化が、もっと広がってほしいと思う」