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 このように、ロンドンマラソンは今や一大チャリティーイベントとなっている。こうしたイベントとなるまで、どのような運営がなされてきたのか。ロンドンマラソンのイベントディレクター、ヒュー・ブラッシャー氏に話を聞いた。

「チャリティーのために挑戦することは、英国、また英国のスポーツ文化では、今やごく普通のことになった。38年前に始まった、ロンドンマラソンがそのきっかけになったと言えるだろう。無論、いきなりこうなったのではなく、私たちの文化の中で徐々に育まれ、進化していった」

 ブラッシャー氏は、スポーツにおけるチャリティー文化が現在のように「英国の標準」とも言えるほどに浸透したのは、メディアのチャリティーに関する肯定的な取り上げ方や、王室関係者や著名人の支援が一助になったと指摘する。

 2017年、大会のチャリティー・オブ・ザ・イヤーには、メンタルヘルスのチャリティー団体が選ばれ、ウィリアム、ヘンリー両王子とキャサリン妃が認知度向上のための大々的なキャンペーンに協力をしたという。

 その年のロンドンマラソンには、メンタルヘルスの重要性を世間に認知してもらうために、揃いのヘッドバンドをしたランナー数千人が参加した。ブラッシャー氏は「このことが間違いなく、メンタルヘルスに関する社会の認識を良い方向に変えた。あの年、ロンドンマラソン が『メンタルヘルス・マラソン』であったことを喜ばしく思う」と語った。

チャリティーランに挑む参加者たちの願い

 一方、実際にチャリティーに参加するランナーたちは、どのような思いを抱いているのか。エミリー・ルディックさん(26)は、今年初めてチャリティーランナーとしてロンドンマラソンに挑む。選んだチャリティーは、英前立腺がん研究センターだ。

今年のロンドンマラソンで初めてチャリティーランに挑むエミリー・ルディックさんと父親

 ルディックさんの父親もランナーであり、過去40年間に78回ものマラソンに参加した。しかし、最近、進行性前立腺がんであることが判明し、走ることができなくなった。ルディックさんは、父親に代わり、今大会に参加することを決めた。

 このチャリティーを選んだのは、新薬や新しい治療法の開発に携わる団体であること、また、比較的小規模の団体であるために、資金が少ないことが理由だ。