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 また、ロンドンマラソンでは登録されたチャリティーの団体数は約1800にも上り、22の東京マラソンとはケタ違いに多い。今年の東京マラソンの寄付金額は3月4日時点で約5億8173万円(3月31日まで受付)。6億円集まったとしても、ロンドンマラソンが今年も昨年と同程度の寄付を集めれば15分の1以下だ。昨年の東京マラソンのチャリティー団体数は8で、寄付金総額は4億1517万円だった。(ちなみに、英国でいう「チャリティー」団体とは、日本で想像される「慈善団体」というよりもNPO(非営利団体)という感覚の方が近い)

 東京大会も、わずか8年前に700人あまりでチャリティーランを開始してから毎年右肩上がりにランナーの数が増えている。ロンドンの寄付金総額は10億ポンドだが、これは過去38年間の累計であり、今後東京でもチャリティーランの更なる普及が期待される。

 ただ、ロンドンでは、市民の間に違和感なく「ロンドンマラソン=(イコール)チャリティー」という意識が根付いていると言って良いだろう。

マラソンを通じて「チャリティー」が英国社会に浸透

 今年も大会の公式スポンサーは、英ヴァージングループ傘下のヴァージン・マネーだ。今や一大イベントに成長したロンドンマラソンだが、1981年の大会開催以前、英国でのマラソンといえば、せいぜい20人ほどのランナーが、のどかな田舎道を数人の観客と牛の前を走る地味なイベントであったという。

 しかし近年では大会当日、早朝から多くの人たちが、ロンドンの観光名所などのコース沿道を埋め尽くす。沿道を彩るのは、各チャリティーが掲げる色とりどりのバナーや旗、それに、同じカラーで統一された、チャリティーのTシャツを着た応援団たちだ。

 こうした多くのチャリティーが毎年、積極的にロンドンマラソンを盛り上げていることで、様々な障害や疾病などに対する社会の認知を広げる効果を発揮していると言えそうだ。少なくとも年に一度は、社会を共に形成する弱い立場に置かれた人たちに思いをはせ、困った時には互いに手助けしあえる社会的な素地を作るきっかけとなっているように思う。

 実際、ロンドンマラソンのチャリティーランにおいて特筆すべき点は、参加団体の多様性だ。アルツハイマーや脳卒中、子供の虐待防止、がん、ホスピス、自閉症、視覚障害、てんかん、喘息など。がんに至っては、乳がんや小児がん、前立腺がんなど、参加団体の分野が細分化されている。

 大会前、ランナーたちがゼッケンを受け取るのは、「ロンドンマラソンEXPO」と名付けられたイベントだ。マラソンの展示会というよりも、多岐にわたるチャリティーの見本市のようになっており、各団体が病気や障害について認知を高める場となっている。

 日本でチャリティーというと、「善行を施す」というイメージが付きまとうのかもしれない。しかし、これだけ多種多彩なチャリティーが存在すれば、誰にでも、家族や友人、知人に、同様の問題を抱えている人がいることに思い至り、「困った時はお互い様」と、互いに手助けしあうことを当たり前に思えるのではないか。