ウクライナの解体が始まる?

 「精神的に不安定になっている」との見方まで浮上するプーチン大統領はウクライナにどこまで迫るつもりなのか。現在進行中の停戦交渉は「ウクライナの中立化と非軍事化」を条件に掲げている。だが、それでは収まらないとの見方が少なくない。

 「ウクライナは欧州の大国で、旧ソ連諸国の中で最も強くロシアの意向に逆らってきました。今後はそうできないよう『二流国家』に作り替えようとする可能性」がある(東京大学の小泉氏)。

 具体的な策としては「2014年のウクライナ危機のときにロシアの軍事専門家が語っていた見立てが参考になります。ウクライナを4つの地域に分割し、連邦制に移行するというものでした」(同)

 「4つの地域のうち1つはクリミア半島。もう1つはドニエプル川東の『ノボロシア(新ロシア)』。第3はウクライナ中央部の『マロロシア(小ロシア)』。首都キエフはこの地域にあります。そして第4は西部の『ザカルパチア』です」(同)

 「この4つの地域からなる連邦制とするものの、それは名目上だけ。詳細は不明ですが、各地域に拒否権を持たせるなどして国としての意思決定ができない状態を作り出すような構想でした」(同)

 さらに、拓殖大学の名越健郎教授は「プーチン大統領はウクライナを解体する気だと思います。ゼレンスキー政権の打倒、親ロシア派政権の樹立と進んだ後、独立を承認した親ロ派支配地域をいずれはロシアに併合するとみられます。ドネツクとルガンスクを州単位で併合するでしょう。既に両州の州都を押さえていますから。2014年にクリミア半島を併合したときと同様に住民投票を経て手続きを進めると思いますが、いつになるかは分かりません」とみる。

強圧的な要求の背景に軍事力あり

 プーチン大統領がウクライナに強圧的に迫っている背景にその軍事力がある。米国と並ぶ核戦力を持っているほか、宇宙の軍事でも力を増している。ロシアは2021年11月15日、敵国の衛星撃破を想定して実験を実施した。

 「これにより宇宙には、追跡できる大きさのものだけで1500以上のデブリ(宇宙ごみ)が発生。この大量のデブリが上空約400kmの軌道を周回する国際宇宙ステーション(ISS)を破損する恐れがあったため、乗組員は一時的にシェルター避難を余儀なくされている。ちなみにこのとき、ISSには米国から4人、ドイツから1人、ロシアから2人の計7人が搭乗していた」

 米国が強く非難したのは言うまでもない。

 ゲームチェンジャーと呼ばれる極超音速兵器でも、ロシアは米国を突き放してフロントランナーとなっている。

 「極超音速兵器は一般に(1)マッハ5以上の高速、かつ(2)低い軌道を飛翔(ひしょう)するためレーダーで探知するのが困難。着弾前のターミナルフェーズで(3)軌道を変える能力を備えるので着弾地点を計算するのも難しい。よって、欧米諸国や日本が配備するミサイル防衛システム『イージス』でも迎撃が難しいとされる。日本にとっても悩ましい代物だ」

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