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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、テレワークを導入する企業が増えている。安倍晋三首相が小中高の休校要請を出したことで、その必要性はさらに高まっているといえる。だが、突然の事態に戸惑っている企業の経営者や担当者は多い。非常時とも言える状況で、テレワークをいかに導入するのか。テレワークの実情に詳しい田澤由利テレワークマネジメント社長に緊急寄稿してもらった。

(写真:PIXTA)

 新型コロナウイルス感染対策として「テレワーク」が注目されている。2月後半から、「在宅勤務指示」を出す大手企業が増え、さらに小中高の休校が重なり、ニュースにおいて「テレワーク」や「在宅勤務」の言葉が飛び交っている状況だ。

 そんな中、専門家や評論家のコメントも目立ってきた。「テレワークが広がるきっかけになる」と言いつつも、「非常時だからと、急にテレワークを導入するのは難しい」という意見も少なくない。

 テレワークは、「制度の導入」だけでなく、「業務の見直し」「システムの導入」「意識改革」など、働き方がガラっと変わるために、時間と労力をかけて、しっかり取り組む必要がある。10年以上テレワーク専門のコンサルティング会社を経営してきた筆者も「テレワークは簡単に導入できる」と言ったことは、一切ない。

 しかし、今は非常時である。社員の感染リスクを最小限に抑える必要がある。「できない」と言ってしまっては、「満員電車に乗って、会社で顔を突き合わせて打ち合わせをする」という、感染リスクがつきまとう。また、「小中高の休校」により、休みをとらざるを得ない社員も増えている。国は、補填をすると言っているが、たとえ給与の何割かが補償されたとしても、企業にとっては、「仕事が進まない」という事実に変わりはない。「難しい」とあきらめるのではなく、今だからできる「テレワーク」に挑戦すべきではないのか。

 さまざまな新聞記事やニュースでは、評論家や専門家と言われる人たちが、テレワークに関して、「正論」を語っている。それに対する筆者の考えを書いていきたい。

テレワークでは、機密情報が漏洩するリスクがある

 テレワークというと「セキュリティーをどう確保するか」が、一番に議論されがちだ。確かに、重要な企業情報が漏れると、お客様にご迷惑をかけるだけではなく、大きなダメージを受ける。

 ただ、「テレワークだから」という理由で、大きな情報漏洩事件が起きたとは聞いたことがない。多くの情報漏洩事件は、社内で発生しており、悪意のある社員によるものがほとんどだ。考えれば分かることだが、在宅勤務時に、悪意を持って情報を漏洩させたら、すぐに誰が犯人か分かるだろう。特に、今回のような「非常時」における在宅勤務は、計画的に何かをすることも難しいはずだ。

 今は、非常時である。すべての情報を守ることばかり考えていると、社員の安全を守ることができなくなる。万が一漏洩があっても、大きな被害が想定されない情報のみを選定し、テレワークを許可することが必要だ。非常時においては、多少の「業務量低下」を覚悟すべきではないだろうか。

 それが嫌なら、リモートデスクトップ等のセキュリティーツールを利用しよう。自宅にいながら、会社のパソコンを安全に操作できる。