トヨタ自動車が同社初の量産電気自動車(EV)の発売を控え、滑り出しでつまずかないよう入念な準備を進めている。報道陣、自動車のジャーナリストやアナリストらに乗り味を試してもらうとともに、電池の品質や技術などをアピール。EV市場が本格的に立ち上がっていない国内では、販売手法も定額制(サブスクリプション)のみとし、EVに対するユーザーの不安払しょくに腐心している。

 トヨタは今年半ばにスポーツ多目的車(SUV)タイプのEV「bZ4X」を発売する。同社にとっては初の量産EVだ。ハイブリッド車「プリウス」を開発し、世界に先駆けて電動車を送り出したものの、純粋なEVに限っては競合他社の後塵を拝することとなった。まだ需要は少ないとみていたほか、EV特有の問題点を見極めていたためで、特に電池の寿命や安全性を追求していた。

 トヨタは先週、4日間に分けてbZ4Xのプロトタイプ(発売前の試作車)試乗会を千葉県内で開催した。会場に集まった総勢およそ150人の記者やアナリストに対し、独自に開発した技術などを詳細に説明した。
 

トヨタ自動車が同社初の量産電気自動車(EV)の発売を控え、滑り出しでつまずかないよう入念な準備を進めている。写真はEV「bZ4X」。都内で2021年12月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
トヨタ自動車が同社初の量産電気自動車(EV)の発売を控え、滑り出しでつまずかないよう入念な準備を進めている。写真はEV「bZ4X」。都内で2021年12月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 EVは急速充電や急加速を繰り返すと電池セルが発熱するため、セルを冷却液で冷やす。トヨタはショートしないよう、電気を通しにくい冷却液を新たに開発。冷却液が万一漏れた場合もセルが水没しないよう、液に接しない別室構造にした。電池の電圧も多重で監視し、内部で不測の事態が起きたときも対応できるようにしたという。

 EV用電池は発火の報告が相次いでいる。充電中に発火した米ゼネラル・モーターズは、韓国LG化学の電池子会社、LGエネルギーソリューション製の電池を搭載した車両を複数回リコール(回収・無償修理)した。韓国の現代自動車も同じ電池を採用したEVのリコールに追い込まれた。

 「安心安全は絶対。その上で、航続距離と電池劣化と充電スピードの3つを両立させることを意識した」と、トヨタ・パワートレーンカンパニー電動パワトレ開発統括部の山本雅哉主幹は試乗会で話した。

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