プーチン大統領の次の一手を考える

 プーチン大統領はこの先どこまで進む気だろうか。答えはプーチン大統領のみが知るところだ。ただし、専門家はいくつかのシナリオを想定している。自衛隊でベルギー防衛駐在官およびNATO連絡官としての勤務した経験を持つ長島純氏は「黒海の聖域(軍事要塞)化や、バルト3国と他のNATO諸国との分断が考えられる」という。

 黒海から西側勢力を追い出し、オホーツク海のような聖域(軍事要塞)にできれば戦略的に大きな意義を持つ。ロシアはオホーツク海に戦略核兵器を搭載する原子力潜水艦を配備して、核抑止の要にしている。核による先制攻撃を受けても、隠密性に優れる潜水艦によって反撃に転じる。新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「ブラバ」を搭載するボレイ級原子力潜水艦を、ウラジオストクを拠点とする太平洋艦隊に配備する予定もある。黒海が同様の存在になればNATOに対して強いにらみを利かせられるようになる。

 もう1つはロシアが、欧州の戦略的要衝であるスバルキ・ギャップ(Suwalki Gap)をコントロール下に置くシナリオだ。スバルキ・ギャップは、北に位置するリトアニアと南に位置するポーランドを隔てる国境線で、その距離は東西方向に100kmほど。その西端はロシアの飛び地であるカリーニングラード。東端は、ロシアの友好国ベラルーシの西端に当たる。ここを押さえれば、リトアニア以北のバルト3国は他のNATO諸国から分断されることになる。

 そのとき、NATOはどのように行動するのか。その結束が問われる。

最後に

 ウクライナ危機は欧州の問題にとどまらない。

 中国は、米国をはじめとする西側諸国がいかなる対応を取るのか、まばたきさえ惜しんで凝視しているだろう。いかなる制裁を科すのか。軍事行動を起こすことはあるのか。それゆえ、ウクライナ危機にいかに対応するかは中国の次なる行動に影響を及ぼす。東アジアの安全保障に直結するのだ。

 中国はもちろん、日本の行動もしっかり見ている。 

 そして、日本の行動を見ているのは中国だけではない。欧州諸国も同様だ。仮に台湾有事の場合、欧州諸国がいかなる行動を取るか。それは、日本がいま取る行動が左右する。日本政府は腰を据えて取り組む必要がある。そして日本国民も日本政府の行動から目を離してはならない。

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