福島県相馬市で。2月13日の余震は震度6強を記録(写真:新華社/アフロ)

 2月13日の午後11時すぎ、福島県沖でマグニチュード(以下ではMと略記)7.3の地震が起きた。震度6強という激しい揺れが宮城県の蔵王町と福島県の相馬市などを襲い、石巻港では20センチの津波が観測された。本稿執筆中まで(2月15日午前)に東北と関東を合わせて152人がけがをし、各地で住宅被害のほか長時間の停電と断水が発生した。また、東北新幹線の那須塩原―盛岡間では電柱が折れたため、2月16日現在も運転を見合わせている。

 この「福島沖地震」には、多くの読者が東日本大震災のデジャヴ(既視感)を味わったことと思う。ちょうど3月11日の東日本大震災10周年の約1カ月前というタイミングも相まって、地球科学と火山学が専門である筆者も、我々が「大地変動の時代」に暮らしているということを思いがけず改めて実感させられた。

 ここではいたずらに不安がることなく、いつか来る危機を冷静に認識しつつ「正しく恐れ」、できるところから備えていくことが肝要である。本稿では、日本列島が置かれた状況について、最新の地球科学に基づき基本的なポイントを解説していく。

2・13余震の背景

 宮城県で震度6強以上の揺れを観測するのは、2011年4月7日の宮城県沖を震源とするM7.2の地震以来である。ちなみに、今回の地震のM7.3は6434人の犠牲者を出した阪神大震災(1995年)と同規模の大地震だった。震源が55キロと深かったため幸い津波の被害はなかったが、地震そのものの規模が大きいため、東北と関東の広い範囲で強い揺れを引き起こした。

 日本列島は4枚のプレートと呼ばれる厚い岩板がせめぎあう、世界でも特異な「変動帯」にある(図1)。東北地方の下には東から太平洋プレートが沈み込み、北米プレートとの境界では歴史的に巨大地震が多く発生してきた。今回の地震は太平洋プレートの内部で発生したもので、さほど珍しいものではない。地震の発生によって福島県沖のプレート境界では新たに歪(ひず)みが加わり、近い将来の地震が起きやすくなっている。

図1:日本列島を取り囲むプレートと主な震源域。鎌田浩毅著『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書) による。

 今後も大災害が予想されるので、まず地下で何が起きたかを地震発生のメカニズムから説明しよう。

東日本大震災の巨大「余震」なお続く

 震源の場所と押し引きの力学メカニズムからみて、政府の地震調査委員会は2月13日の福島県沖の地震を東日本大震災の「余震」であるとの見解を示した。なお余震とは、大きな地震が起きた直後から小さな地震が立て続けに起きる現象である。

 一般に、余震は初めの一撃である「本震」と比べると10分の1以下と小さく、かつ時間とともに数が次第に減ってゆく(図2)。統計的に見ると、大きな地震はめったに起こらず、小さな地震は頻繁に起きる。たとえば、日本列島ではM7地震が年1回ほど、M6地震が月1回ほど、M5地震が週2回ほどの頻度で発生する。すなわち、M7.3という規模はかなりまれな大地震なのである。

図2:地震の本震と余震。鎌田浩毅著『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)による。

 読者もご存じの通り、東日本大震災は、2011年3月11日に起きた地震とそれに伴う津波の災害全体のことを指す。東北地方の太平洋側の海底で発生し、気象庁により「東北地方太平洋沖地震」と命名された(図1)。

 海底にある地震を起こした震源域は、長さ500キロメートル、幅200キロメートルという広大なもので、宮城県沖・福島県沖・茨城県沖の3つの領域にまたがっている。地震の規模はM9.0で、日本列島では平安時代以来の約1000年ぶりという未曽有(みぞう)の超巨大地震だった。

続きを読む 2/4 東西に引き伸ばされた日本列島

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