ウクライナで衝突が起きた際の影響を調査

 ロイターが入手した資料からは、半導体業界の国際団体、国際半導体製造装置資材協会(SEMI)のジョー・パセッティ副会長(グローバル公共政策担当)が先に会員企業へ電子メールを送り、重要な資材の調達状況について調査したことが分かる。

 メールにはC4F6、パラジウム、ヘリウム、ネオン、スカンジウムなど半導体製造に関連する資材についてロシアとウクライナの生産状況をまとめたテックセットのリポートの概要が添付されており、供給が止まる恐れのある企業は申し出るよう促している。

 テックセットの分析に基づくと、半導体製造用レーザーに重要なネオンは、ロシアの製鉄の副産物として生産され、ウクライナで精製されている。パラジウムはセンサーやメモリーなどに使われる。

 バイデン政権は、ロシアがウクライナに侵攻した場合にはロシアに対して厳しい輸出規制を行うと示唆。ロシアはウクライナ国境に10万人以上の軍を集結させているが、侵攻を否定している。

 一部の半導体メーカーは既に供給網を点検し、ウクライナで衝突が起きた際にどんな影響が出るか調べているところだ。ある半導体業界の関係者は、ネオンなどのガス供給について調査していると認めた。一部はウクライナ産だという。

 この関係者は「ウクライナで衝突が起きても供給が途絶えることはないだろう。価格は上がりそうだ。市場では供給が逼迫し、ガスは手に入りにくくなる。しかし、それでも半導体の製造が止まることはないだろう」と話した。

 半導体設計を手掛ける新興企業の幹部に取材したところ、ウクライナ情勢の悪化は希ガスの価格上昇を招き、供給問題を引き起こす可能性がある。フッ素も大部分がロシアやウクライナなどの地域から供給されており、影響を受けてもおかしくない。

 米半導体大手インテルの広報担当者は、ネオンの供給に影響を出るとは見込んでいないと述べた。

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