前回の記事「ガンプラはどこに消えた? 暗躍する転売ヤー 怒るモデラー」では、ガンダムのプラモデル(ガンプラ)の深刻な在庫不足にファンが不満を募らせている現状を取り上げた。こうした状況に、多くのモデラーが怒っていることは間違いないだろう。そんなガンプラ愛が強いモデラーが商品不足の“元凶”と見なすのが「転売ヤー」だ。今回の記事では、転売ヤーの実態や混乱収束の見通しに迫る。

 転売ヤーといえば、有名ブランドの洋服を着て高級時計を持ち、輸入車を乗り回しているといったイメージを持つ人もいることだろう。しかし、筆者が接触した転売ヤーは、そんなイメージとはかけ離れていた。子育て中の30代の女性で、ガンプラの一般的なファン層とも大きく異なる印象を受ける。

 ガンプラの転売は、新型コロナウイルス禍が広がった2020年の春先から始めたという。「副業系のオンラインサロンに入っており、その中で『ガンプラがこれからもうかる』と聞いて転売するようになった。その前は、子育てと休職などで減った収入を補うためにアニメキャラクターのグッズの購入代行やマスクの転売などをしていました」。女性は取材に対して、こう語り始めた。

 最初はTwitterを使って購入代行をしていたが、SNS上でやりとりする際にトラブルが起きることも少なくなかった。しかしガンプラの転売は、商品を買ったらスマホを使ってメルカリのアプリで撮影し、価格を決めて出品するだけだ。「モデラーが相手だとトラブルはほとんどないので、手軽だった」という。

 東京都内のターミナル駅である池袋駅や新宿駅付近にある家電量販店を巡回し、プラモデルの在庫を確認。売れそうなものを購入して出品しているという。彼女の出品履歴を見せてもらったところ、ガンプラ以外では、『鬼滅の刃』や『東京リベンジャーズ』、『呪術廻戦』などのアニメ系や、コンビニで配布されるゲームのノベルティーなど、商品は多岐にわたっている。

 「ガンプラに関しては、年が明けてからは相場環境が厳しくなっており、1月の利益は2万円強ぐらい。以前は、家電量販店の巡回やガンダムベースへの遠征で売れ筋に出合えたのですが、最近は争奪戦が激しくなって、もうけにくくなってしまいました」(同女性)

 以前は、子供が一緒なら2人分購入できたのだが、最近は1グループで買えるガンプラの点数も制限されるようになっている。利幅も薄くなっており、「1個売るだけではオムツ代にもならない」という。

 「濡れ手に粟(あわ)」のように思われがちなガンプラの転売だが、彼女の話を聞くと、マメな情報収集と仕入れ、出品作業が必要でなかなか大変だ。商品の発売予定に加えて、転売紹介のYouTubeやTwitterなどの情報を随時チェック。売れるか売れないか自分で相場を読んで、商品リストを作って購入しているという。

 ガンプラの流通量やメルカリやヤフオクで人気の商品を調べて需要を先読みするなど、専門バイヤーのように真剣に向き合っており、その知識は玩具コーナーの店員以上にも思えた。彼女の転売に向き合う姿勢からは、プライドさえ感じられるほどだ。ただ個人の意見としては、ガンプラを買って自分で組み立てたいファンではなく、転売ヤーが買いあさっていることが市場をゆがめているのではないかとやはり思ってしまう。

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