トヨタ社長「全部本気だ」
海外勢が日本でEV販売を強化していることについて、国内首位のトヨタは各社それぞれに戦略があるとした上で、「大事なことはカーボンニュートラル(脱炭素)に向けて真剣に取り組み、実現させること」(広報)としている。豊田章男社長はかねてから国ごとに電力構成など条件が異なるため、選択肢がEVだけでは世界的な解決策にならないとし、EVも燃料電池車もプラグインハイブリッド車も「全部本気だ」と繰り返してきた。
プジョーを購入した阿部さんも、火力発電の比率が高い日本の電力事情は認識しており、車両の生産から廃棄までライフサイクル全体でみると、日本では現状、EVが必ずしもエコではないことを理解している。ただ、「若者が率先して動くことで(電力含めて)環境に良いものへと世の中が変わるよう、火がついてくれれば」との思いが強い。
ブランドコンサルティング大手インターブランドジャパンによると、消費者が車を選ぶ理由のうち、42%をブランドイメージが占めるという。同社の並木将仁最高経営責任者は、EV時代はブランドを体現する重要な要素が燃費などの機能的価値から変化すると説明。社会にどんな価値を提供したいかという「パーパス(志)」、それを軸に事業を進めているかという精神的価値が重視され、特に移行期は消費者にとって判断しやすい「シグナルになりうる」とし、「会社の意志が分かりやすい欧州勢のほうが有利だろう」とみる。
並木氏は、EV専用ブランドに振り切ると決めたトヨタのレクサスなどは「十分な可能性がある」とも話している。
(白木真紀記者 グラフィックス:照井裕子 編集:久保信博)
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