国内最大級の充電網

 「日本でのEV(販売)に本気だ」。VWグループジャパンのマティアス・シェーパース社長は1月中旬、傘下の高級車ブランド「アウディ」の会見でこう表明した。

 アウディはこの日、2024年までにEV15車種以上を日本に投入する計画を発表。すでに1000万円前後の2車種を販売しているが、普及には価格を下げる必要があるとして599万円から買える小型スポーツ多目的車(SUV)を今秋以降に追加する。25年にはEVの販売比率35%、1万台以上を目指す。世界で昨年、約11万台超売れたVWブランドの小型SUV「ID.4」も年内に投入する。

 普及に不可欠な充電網も整備する計画。急速充電器のある販売店を現在の50店舗から、年内に倍以上増やす。VWの販売店も含めて今年中に国内最大級の計250店舗に拡大させる。ホテルやゴルフ場には普通充電器を設置し、VWグループ以外のEVも利用できるようにする。

 国内でプジョーなど7ブランドを手がけるステランティスは、年内にEV2車種を日本で追加発売する。展開するEVはこれで計5車種となり、新車投入に合わせて販売店に充電器を設置する。3月に日本法人の社長に就くポンタス・ヘグストロノム氏は1月中旬の会見で「今年のEV販売は飛躍的に伸びる」と話した。

 海外勢、とりわけ環境規制が厳しい欧州のメーカーはEVシフトを迫られている。内燃機関車の部品調達先も「どんどんなくなってきている」(シェーパース氏)。ガソリン車を発明した独ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツ・グループは29年末までにEV専業になる準備を整えると宣言している。

日本勢も本腰

 日本勢もここに来て本腰を入れ始めた。「リーフ」で先鞭(せんべん)をつけた日産自動車は、SUV「アリア」の標準仕様車を今春投入する。トヨタ自動車とSUBARUは共同開発したEVを年央から日本など世界へ順次展開。トヨタはすでに約5000の国内販売店ほぼ全てに普通充電器があるが、25年までには急速充電器を全店に置く計画で、高級車ブランド「レクサス」も35年までにEV専用にする。

 軽自動車のEVでは、日産と三菱自動車が今春、ホンダが24年までに発売するほか、ダイハツ工業とスズキは実質100万円台で25年までに導入する方針だ。

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