どこのお店に行ってもさみしい棚に

 この写真を見ていただきたい。

某量販店の棚。入り口付近の一等地であるにもかかわらず品切れ状態が続く。(画像加工は筆者によるもの)
某量販店の棚。入り口付近の一等地であるにもかかわらず品切れ状態が続く。(画像加工は筆者によるもの)

 こちらは東京都内の某大手量販店のガンプラコーナーの棚である。アンデルセン童話の裸の王様のように、愚か者にはプラモの外箱が見えないというわけではもちろんない。棚が空なのだ。店員に話を聞くと、スペースを埋めるガンプラが存在せず仕方なくそうしているという。苦肉の策ではあるが、バンダイの別ブランドのプラモデルやSDガンダムを軸に陳列するなど、ない棚を目立たせないように日夜努力しているそうだ。通常であれば入荷数>販売数ではあるが、常に販売数の方が多くなってしまう状態が続いている。

 新作プラモデルで味をしめた転売ヤーたちは、発売後時間がたった再販プラモデルにターゲットをシフトしていった。それこそがガンプラ不足に拍車をかけるトリガーとなった。前述したRGジオングなどの転売益を自慢する人や、転売グループなどが、「次はこのガンプラが売れる」と誘導したことで一気に需要を拡大させていったと量販店店員は分析している。駅前の大型量販店では坪単価が高いため、棚ごとの売り上げを厳しくチェックしている。いくら売れ筋商品だからといって、空の棚を維持し続けるのは、コストに見合わなくなってしまうだろう。別メーカーの商品群に棚を奪われるのは時間の問題との見方もあるほどだ。

 だが筆者としては転売ヤーにあおられたモデラーの“飢餓感”も、空前のガンプラ不足をつくり出しているのではないかと考えている。お店に次に行った時に買えないかもしれない。ならば、今すぐに作らなくても購入しておこうと考えるのも無理はない。しかもガンプラは毎月のように新商品が発売されている。静岡県にあるガンプラ工場(バンダイホビーセンター)では、限られた台数の製造装置の金型を交換して、さまざまな種類のガンプラを生産している。したがって新商品が増えれば増えるほど、過去に発売したモデルの再販頻度が減る可能性がある。空っぽの棚を目の当たりにすると、「再販を待つストレスを抱えるよりは、さっさと買って保管してしまおう」「後から高値で買うぐらいなら確保しておいた方がよい」と考えるようになってしまうわけだ。

 その根拠は、後編にてお伝えするが、転売ヤー事情をひもとくと「ガンプラ≒もうけが少ない、場合によっては赤字」といった状況の変化が生まれつつある。再販モデルの人気の有無については、作品知識と相場観も求められるため、レアなアイテムだからといって手を出すと大やけどすることもあるとのことだ。

次ページ ガンプラ販売する直営店に批判も