RGジオングを買い漁る転売ヤー
販売店でも1人あたりの購入制限を始めた。だが、20年の年末には状況がさらに悪化。イベント限定で先行発売されたシャアの愛機であるジオングでは、「RG(リアルグレード)」という上級カテゴリーのハイクオリティーモデルを発売したものの、これが転売される際に高値で売れてしまった。定価は約6050円(税込み)ながら1万円前後で取引されることになり、転売ヤーの商材の話題にもたびたび上がったほどだ。

先ほどのバウンド・ドックと比較しても、ジオングの知名度は高く、発売前から激戦になることは予想されていた。プラモデル雑誌や店舗でも大々的に露出され、多数の人が販売時に殺到した。この結果、入手できなかった人たちは転売ヤーから我先にと購入。模型店や量販店で見ることもできず、転売ヤーから定価の1.5倍程度で入手するしかないという、いびつな市場形成がなされてしまったのだ。
前述した老舗模型店ですら、同じ状況だったという。「ジオングは、普段から買いに来るなじみのお客さん以外からも、スマホの画面を見せてこれが欲しいと相談されることもあった」という。このRGジオング、その後22年になっても相場はあまり変わっていない。むしろ、数回の再販がなされたにもかかわらず、転売ヤーたちが先を争って購入しているという。そうした過剰な人気に嫌気がさすモデラーも多く、定価で買おうと再販スケジュールを把握し、大挙して開店時に人が並ぶこともあった。買い手は大人が中心であるものの、40年前のガンプラブームを彷彿(ほうふつ)とさせるような熱気が生まれつつあった。
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