テクノロジーによる虐待の危険な誤解

 マーティンさんは17歳のとき、自分の加工ポルノ画像がネット上に載っているのを見つけた。画像による虐待に抗議する運動を進め、オーストラリアの法改正にも貢献した。

 しかしマーティンさんによると、被害者の声はなかなか届かないという。

 「テクノロジーによる虐待の被害は、物理的な要素を伴う虐待に比べてリアリティーがなく、深刻でもなく、致命的な結果を引き起こす可能性はないという危険な誤解がある」

 「被害者は、こうした誤解のせいで、声を上げ、支援を求め、司法にアクセスすることがより難しくなっている」と言う。

迫害

 こうした画像を加工している者を、個人が1人で追跡するのは難しい。また、IT(情報技術)プラットフォームは匿名ユーザーの隠れみのとなりがちだ。こうしたユーザーは偽の電子メールやSNSのプロフィールを簡単に作成することができる。

 議員でさえ例外ではない。昨年11月には米共和党のゴサール下院議員がSNSに、自身が民主党のオカシオコルテス下院議員を殺害するアニメ動画を投稿し、下院が問責決議を行った。

 EndTABのダッジ氏は「新しい技術が出るたびに、それがいつ、どのように悪用され、ネット上の未成年・成年女性に危害を加える武器になるのかを即刻考えるべきだ」と訴えた。「ITプラットフォームによって、オンライン虐待の被害者側にひどく不利な環境が生み出されてしまった」とし、現実世界で被害を受けたときに助けを求める従来の方法は、ネット上の虐待ではそれほど利用できないと説明した。

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