全3668文字

グローバル経済に「違和感」

金井氏:例えば、段ボールがすごく値上がりしているという報道がありますよね。普通のお菓子や日用品など、段ボールを使う製品を軒並み値上げせざるを得ない状況だと。何で段ボールが値上がりしたかというと、中国が米国から入る段ボール原紙や古材に25%の報復関税を掛けたのが主因だと言われます。米国から買うことができなくなった中国は、日本からすごい量を買うようになり、日本で古紙の値段が上がったわけです。

 米国と中国の覇権争いの影響が出てしまっているわけですが、それを日本はある意味、傍観しているわけです。そのようなことにも、すごく違和感があります。今のグローバル経済は極めて怪しくて、国家も企業も巻き込まれて……。こういう社会でいいのかと、僕は思うんですよ。

 そのような意味で、世界の動き、社会の動きに無責任というか、当事者にならずに傍観する姿勢に、まず違和感を覚えるのです。

自然にやさしく“する”、ではなく“される“

消費生活や経済だけでなくて、政治も含めた社会全体の在り方についての違和感に、経営として常に敏感であるというのが、良品計画がずっと守り続けている1つの軸なのですね。

金井氏:そうです。僕たちは結局、人間そのものがどうあればいいか、ということを考えているのです。やはり、ちょっと変だと思っているんですよ。人間が頂点にいて、全部を牛耳っていると考えるような風潮を。

 例えば、「地球にやさしくしよう」なんていうコピーもおかしいですよね。「自然にやさしくしよう」なんて、バカ言っているんじゃねえやと。傲慢だと思うんですよ。

 僕たちなんかただの動物で、自然の中の一部でしょう。それが、「地球にやさしくしよう」っておかしい。僕たちならこうです。「自然にやさしくされましょう」。

 人間の振る舞いそのものがおかしくなってきている。そんな議論も当然、僕たちは普通にやるんです。

 あるべき姿というのを持っているから、違和感にすごく触れるわけです。例えば、地方がこんなに困っていながら、東京みたいな施設をぼんぼん造って、すごくきれいな自然が壊されていく……。そんなことにも、ふざけんじゃねえぞ、という違和感がありました。

そういう意味では、今、小売りの枠を超えて、MUJI HOTELや電気自動車のプロジェクト、地方創生など活動の幅を広げているのは、当然の流れなのですね。

金井氏:堤清二さんも(創業メンバーでデザイナーの)田中一光さんもお墓の中にいるので、僕たちは彼らがやろうとした消費社会へのアンチテーゼ以前の、もっと根っこを探る必要があると考えてきました。彼らが今、いないが故に、思想の根っこの部分をもっと探り当てようとしてきました。

 「消費社会へのアンチテーゼ」というのは、当時出てきた1つの現象であって、本当はそれだけではないだろうと、彼らの若いころの作品や言動などから探るわけです。そうやって解釈を増幅させていった時、結局、人間の振る舞いそのものを僕たちは考える。それがある意味、仕事になってきているという感じがします。