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 日本イノベーター大賞の受賞者からイノベーションのヒントを学ぶ。第6回は大賞に選ばれた、「無印良品」を運営する良品計画の金井政明会長へのインタビュー前編。「無印良品とはどういったものだろうか」という問いに20年以上もの間、向き合い続けて、堤清二氏ら創業メンバーの思想を継承。シンプルで美しい、確固たる無印良品のイメージを築き上げた。その手法はまさに、イノベーションを起こすカギとして注目集めている「デザイン経営」そのものだ。

 近年は、ライフスタイルを“売る”というビジネスに注力。今年4月にオープン予定の「MUJI HOTEL GINZA」やフィンランドでの電気自動運転バス計画、地域創生など思想を実践する領域を拡大している。

■第17回 日本イノベーター大賞 表彰式 観覧募集(無料)

第17回 日本イノベーター大賞の受賞者や選考委員が一堂に集まる表彰式をご覧になりませんか。観覧希望(無料)を受け付けます。定員(200人)に達し次第、締め切らせていただきます。

  • +日時:2019年2月26日(火) 16:30~(16:00受付開始)
  • +第1部:16:30~17:20 表彰式
  • +第2部:17:30~18:30 受賞者・選考委員によるトークセッション
  • +場所:グランドプリンスホテル高輪プリンスルーム(東京・港区)

観覧ご希望の方は、以下の登録フォームにご記入ください。

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■日本イノベーター大賞の詳細
日本イノベーター大賞受賞者決定、大賞は良品計画の金井政明会長

◇大賞
金井政明氏 良品計画 代表取締役会長(兼)執行役員

◇日経ビジネス賞
関家一馬氏 ディスコ 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)

◇日経ビジネス50周年特別賞
松本恭攝氏 ラクスル 代表取締役社長CEO

◇日経xTECH(クロステック)賞
島正博氏 島精機製作所 代表取締役会長

◇日経クロストレンド賞
キズナアイ バーチャルYouTuber
(代理人:大坂武史氏 Activ8代表取締役)

◇日経ビジネスRaise賞
小林晋也氏 ファームノート 代表取締役

◇日経ビジネスRaise賞ベスト5(ファームノート小林氏に次ぐ上位)
城口洋平氏 ENECHANGE 代表取締役会長
羽生雄毅氏 インテグリカルチャー 代表取締役
石﨑雅之氏・フレッド・アルメイダ氏 アセントロボティクス 代表取締役CEO/創業者・チーフアーキテクト
倉原直美氏 インフォステラ 代表取締役CEO

かない・まさあき
1957年生まれ。西友ストアー長野(現・西友)を経て、93年に良品計画入社。担当部長として長きにわたり売り上げの柱となる生活雑貨をけん引し成長を支える。常務、専務などを歴任した後、08年2月に代表取締役社長に就任。15年5月から現職。
(写真:的野弘路)

堤清二氏の遺志を引き継いで、金井会長はデザインを経営に生かしてきました。「デザイン経営」という言葉も最近ではよく耳にしますが、そもそもデザインを経営に生かす意義はどこにあるのでしょうか。

金井政明氏(良品計画会長、以下金井氏):まず「デザイン経営」という言葉ですが、僕はよく分かりません。何がデザイン経営なんだろう、とも思いますよね。

 デザインという言葉自体の定義もいろいろあるでしょう。だから、「デザイン経営」なんて言われると、さっぱり分かりません。

 最近は「デザイン思考」という言葉もよく使われるようになりましたが、これは結局、(課題を)どう解決しようかという、考え方そのものを指すのでしょうか。そう考えると、何を解決するのか、という話がまずあるわけですので、結局は、今起きていることに対する「違和感」ということなんだと思います。

違和感ですか?

金井氏:そう、違和感。それは違うんじゃないの? という違和感です。

 その違和感が何で生まれるかというと、僕たちは「思想」と言っているのですが、理想的なあるべき姿をイメージすることで、現状について「違うんじゃないの」「おかしいんじゃないの」という違和感が出てきて、それをどう解決したらいいんだという流れになる。これをおそらく、「デザイン思考」と言っていいのではないかという気がします。

 良品計画はある意味、消費社会が日本に入り、それが極めて商業主義的な過剰なブランド志向だったり、供給者側の論理があまりにも強かったりして、そこに一般的な市民が巻き込まれてしまっている様子に対して、「おかしいんじゃないの」という違和感を抱いたことが出発点でした。物と生活、あるいは自然がどういう関係性になったらいいのかという理想を持っていたので、「無印良品」という概念をつくり、それを具現化する商品や店舗、コミュニケーションをつくってきたのだと思います。

 その延長に僕たちはずっといるので、常にそれを考え続けることをしています。要は、デザイン思考を続けている。結果、それが「デザイン経営」とイコールになるかどうかは僕には分かりませんが、創業時からデザイン思考をやらざるを得なかった会社でした。