最初の「純肉」食品は「フォアグラ」?

「日経ビジネスRaise賞」のベスト5に入選した、インテグリカルチャーの羽生雄毅代表(写真:竹井俊晴)
「日経ビジネスRaise賞」のベスト5に入選した、インテグリカルチャーの羽生雄毅代表(写真:竹井俊晴)

肉など食品はいつ頃になりそうですか。

羽生氏:食品は割と先になるかなと思っています。最初に採算が乗ってくる食品は、おそらく何かフォアグラとかの類になると思うんですよね。肝臓ペーストみたいな。本当に一部の人には2025年ぐらいで出せるかもしれないんですけど、一般にスーパーマーケットで売るとなると、技術以外の規制や法的な事情が絡んでくるので、いつになるかは何とも言えないです。

 25年までにはある程度の大きさの培養設備を作っている計画なので、法的なものはさておき、とりあえず作って特定のレストランで出すというところからやってもいいのかなと思っています。海外のスタートアップはそうした試みをもう始めていて。

 でも、弊社は「世界で一番乗り」を目指しているわけではなくて、まともに社会インフラとして成立するものを作ることを狙っています。食料供給システムですよね、究極的には。あと地元の農家さんが弊社のシステムを使って独自ブランドの肉を培養できたりしたらいいですよね。

仲間づくりが大事だと考えておられると。

羽生氏:資金調達をする前、基礎技術の開発と同時に、情報発信活動をいろいろやっていました。培養肉の同人サークルを作って仲間を集めたり。スマホのゲームとか、何か特定のウェブアプリを作るのであれば、一点突破で行くべきなんでしょうけど、肉でそれをやっても、課題解決が巨大すぎるし、複雑すぎるからです。

 食の分野では、政治経済、社会、芸術、宗教とかそういうものを全部ひっくるめたすそ野の広い議論にしていかないと何も進まない。

起業家としての目標は何でしょうか。

羽生氏:僕はアイデンティティークライシスなところがあって。別に自分は経営者になりたいわけではないけど、こうなった以上やるしかない。世の中的には起業家と言われる立場になっちゃうわけですから。

 もともとのアイデンティティーはSF系のクリエーターの類かなと思いますけど、それとプロフェッショナルアイデンティティーは違う。プロフェッショナルアイデンティティーは構築中です。

■変更履歴
技術的な説明に一部に不正確な表現がありました。人間の体でホルモンを作っているのは「様々な臓器」で、インテグリカルチャーが培養しているのも「様々な臓器の細胞」でした。また、「コスメやサプリの原料を作るプラントを、2020年にローンチできるようなイメージです」は誤りで、正しくは「コスメやサプリの原料の生産を近々始めたい」でした。お詫びして訂正します。本文、動画は修正済みです。 [2019/02/13 17:00]