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 第17回 日本イノベーター大賞(主催:日経BP社)の受賞者からイノベーションを起こすヒントを学ぶシリーズ。第1回は、日経ビジネスRaise賞に選ばれた、畜産・酪農業界にIoT(モノのインターネット)を導入したファームノートの小林晋也社長。発情など牛の体の変化を、センサーなどを駆使して察知し、健康に関するデータを収集・分析してスマートフォン上で一括管理できるクラウド型の管理システムを開発。初期投資にかかる費用が大きく、健康管理がデリケートな和牛や乳牛の生産現場のリスクを低減するとともに生産性向上に貢献している。

 小林社長にとってファームノートは2度目の起業。なぜ畜産・酪農に特化する事業を手掛けることになったのか。

■日本イノベーター大賞の詳細
日本イノベーター大賞受賞者決定、大賞は良品計画の金井政明会長

「牛×IoT」というビジネスとのことですが、どんな事業を手掛けているのですか。

小林晋也氏(ファームノート社長、以下小林氏):我々、ファームノートグループは「『生きる』を、つなぐ。」というビジョンをもとに、今は畜産、酪農をIoTやAI(人工知能)で改善していくためのソリューションを提供しています。技術革新を通じて、持続可能な地球の豊かさに貢献したい。

 現在、牛や豚などの家畜は地球上の穀物をかなり多く食べています。国連が2050年に食料が足りなくなると予測していますが、酪農や畜産の効率が極端な話、2倍になれば、穀物の利用量が2分の1に減らせます。そうすれば空いた農地で人間の食料を作れるようになる。この仮説の下、短期的には「世界の農業の頭脳を創る」べく、IoTやAI(人工知能)の導入を進めています。

 具体的には、家畜の中でも牛に特化して2つのサービスを提供しています。1つが「ファームノート」というスマートフォン向けアプリ。「牛群管理システム」と呼んでいますが、スマホなどのスマートデバイスで牛を管理できます。牛の頭数に加え、食事や就寝時間、病気や治療、種付けなど手書きで管理していた情報を入力することで一括管理します。もう1つが、「ファームノートカラー」という牛の首に取り付けるセンサーの提供です。加速度センサーで測定した牛の動きから発情行動や病気の疑いをアプリに通知してくれます。

 アプリのファームノートは、国内で2700農家、日本にいる牛の8%の27万頭のデータを管理する規模に拡大しました。ファームノートカラーの導入台数の詳細はお伝えできませんが数万台単位で導入されている状況です。