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 むしろ利用者に求められる製品やサービスは何かを追求します。そしてサービスを提供し始めて6カ月以内に、その分野でナンバーワンかナンバー2になるのです。

 つまり技術主導ではなく、マーケット主導型なのです。インフォシークの第2世代の検索エンジンの開発に私はかかわりましたし、百度は技術を大事にしています。しかしながら、見せびらかしにすぎない技術は不要なのです。利用者主導こそが百度が中国で競争に勝利した理由です。

 中国は人口の大きさが象徴するように巨大市場であり、倍々ゲームで成長を続けています。今回、百度は日本でサービスを始めたものの、現時点では収益の大半を中国に依存しています。いずれ、成長の壁に直面するのではありませんか。

 中国市場が成熟するには、まだまだ時間がかかります。なぜなら中国のインターネット人口が2億人に達してもわずか16%に過ぎないからです。ネットの普及率では、先進国と比べてはるかに低い。今後しばらくは中国でやるべきことがあると思っています。

 一方で、私たちが目指すのは日本進出に象徴されるように世界の舞台です。当社は生まれながらにして国際的な会社です。海外のベンチャーキャピタルから投資を受け、米国のナスダック市場にも上場しています。つまり当社の主な株主は中国以外なのです。ですから、技術、サービス、経営などで世界をリードする多国籍企業として、中国以外でもビジネスを拡大していきたいと思っています。

 グローバル戦略の一環として日本に進出するということですが、なぜ日本を選んだのですか。最近は日本経済の先行きに対する悲観論も国内外に広がっているというのに…。

 日本の将来を私は楽観しています。見通せる範囲の未来において、日本は強い経済力とパワーを持ち続けると思っています。世界第2位の経済大国である日本のポテンシャルは高いはずです。最先端であり、日本で成功できれば、グローバルな技術力を私たちも身につけることができます。

 中国と日本は、漢字という文字、地理、文化的にも共通点があります。米国人は、日本が世界で一番難しい市場だと言います。それでも私たちは中国の次に攻略したいのは日本であるという思いに変わりがありません。日本で成功することができれば、グローバル化の第一歩としては大変素晴らしいことだと思っています。

 日本市場のどこが魅力ですか。あるいは、挑むうえで難しいと思う点はどうでしょう。

 日本は成熟市場でネット検索では既にヤフーとグーグルの2社が高いシェアを持ち強固な地位を確立しています。一方の百度はサービスを始めたばかりで、成功するのは簡単ではありません。まだよく知らないものを使うことを、日本人が躊躇する場面もあるでしょう。

 中国製品に対するイメージが「安っぽい」とか、「品質が低い」というものであれば、それとは違うことを百度は証明しなくてはいけません。ただし私たちは本当にユーザーの好みや嗜好を大切にしていきます。日本ではまずネット検索から始めて、これから様々なサービスを強化しなくてはなりません。そのために製品開発を担当する技術者は、東京と北京で夜も寝ないで頑張って働いています。

 漢字検索が強いということは、逆に言うと、それ以外の部分でグーグルよりも競争力が劣ることになる…。

 漢字検索というのは当社の競争力の一部分でしかありません。英語と日本語の違いは、後者には単語と単語の間のスペースがないことです。中国語も同じですね。こうした構造の言語において検索の品質をどうすれば上げられるかを当社はずっと研究してきました。今後数年で日本語の検索でもいかに当社が優れているのかを証明したいと思います。