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今回お届けするのは、百度(バイドゥ)トップの李彦宏(ロビン・リー)氏のインタビューです。

李氏はネットでのサービスに関し、資金と技術者を抱える会社が常に勝つとは限らない、と語ります。顧客のニーズを捉えていこうとする姿勢をはじめ、「グーグルに勝った男」と呼ばれる李氏の、事業への意気込みと勝算が伝わる記事です。

掲載号:2008年2月4日号(記事の内容は掲載時のものです)

李 彦宏 (ロビン・リー)氏[百度会長兼CEO(最高経営責任者)]
1968年山西省生まれ。91年に北京大学を卒業後、米ニューヨーク州立大学バッファロー校で、コンピューターサイエンスの修士号を取得。米ダウ・ジョーンズの「ウォールストリート・ジャーナル」オンライン版のシステム開発を経験し、米インフォシークなどで検索エンジンを設計。2000年に中国で百度を起業し会長に就任。2004年1月からCEO(最高経営責任者)も兼務する。2006年12月には米「ビジネスウィーク」誌で世界の経営者の中から選ばれる「2006年のベストリーダー」の第4位に入った。(写真:ロイター/アフロ)

顧客本位、後発で勝つ
中国でグーグルに勝利したのは、利用者を重視しているからだと強調する。
日本市場の開拓を糸口に、非英語圏を中心としたグローバル展開を目指す。
時価総額を生かした買収にも意欲を見せる。

(聞き手は本誌編集長、 佐藤 吉哉)

 中国のインターネット検索で米グーグルとヤフーを向こうに回して、7割を超す高いシェアを獲得して独走しています。後発にもかかわらず、世界の巨人たちを追い抜いて、競争に勝利しつつある。勝因はどこにあると? 

 創業してから8年間、中国におけるネット検索に事業を集中することで成長してきました。私は米国の大学院で修士号を取得し、米検索大手のインフォシークなどで技術者として働いて、ネット検索の先端技術を理解していました。同時に母国である中国市場の地域性も理解しており、帰国後に起業してからは中国のユーザーだけを意識することでサービスを常に洗練させてきました。従って米国企業よりも中国市場について深く理解して事業を展開することができました。

 さらに規模が小さいからこそ、意思決定を速く柔軟にできるという強みがあります。私が2000年初めに中国に戻った当時は、ネットを利用している人はわずか900万人でしたが、それが今や2億人以上にまで増加しています。状況が刻々と変化する中で、素早く行動できたことがカギになっています。

技術の見せびらかしは不要

 百度とほかの検索エンジンの戦略の違いはどこにあるのでしょう。具体的に挙げてみてください。

 例えば、欧米のネット検索大手は、ほぼ同じサービスをグローバルに展開しています。しかし当社は、検索の地域性を重視しています。例えば、日本でサービスを展開する場合は、やはり日本人の感覚に頼る必要があります。この市場で、どのような製品が求められるのかを考えます。一方のライバルは、世界中のすべての市場に合うような技術を使おうとするのが、最大の違いです。

 利用者重視の姿勢にも違いがあります。他社にはマイクロソフトをいかにやっつけるのかに注意を払っているように見えるケースもありますが、当社はまず利用者が何を求めているのかに関心を払います。(グーグルのように)消費者にカッコいいと思われるサービスを提供できるかどうかに対して百度はあまり関心を払っていません。