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 今回はファーストリテイリングを率いる柳井正氏のインタビューをお届けします。

 同社の前期(2018年8月期)の売り上げは2兆1300億円に上りますが、このインタビューでは「海外の店舗は2~3年後、国内の売り上げが3000億円くらいになった時に本格展開したい」とし、さらに「世界一のアパレルメーカーになる」と目標を語っています。

 世界のアパレル業界の中で、ユニクロは現在、ZARAを展開するスペインのインディテックス、スウェーデンのH&Mに次いで3位。トライ&エラーを繰り返しながらも、会社を成長させてきた柳井氏の姿勢を知ることができる記事です。

掲載:2000年1月17日号(記事の内容は掲載当時のままです)

柳井 正(やない・ただし)氏
1949年2月山口県生まれ、50歳。71年3月早稲田大学政治経済学部卒業後、ジャスコに入社。72年8月父親が社長を務める小郡商事(現ファーストリテイリング)に転じる。73年専務、84年9月から社長。(写真:ロイター/アフロ)

いま最も必要なのは人材
山口の本社、東京に移転も
商品、店舗、人材――。問題点を客観的に見据え、改革の旗を振る。
「21世紀は個人の時代。個人を生かせない会社は駄目になる」と断言。
社員独立型のフランチャイズも検討中だ。

(聞き手は本誌編集長、小林 収)

失敗は普通、だから撤退は即座に

 この冬だけでフリースが800万枚ですか。すごい売れ行きですね。

 これまで我々は郊外に店を出してきました。しかし1998年11月に都心の原宿店をオープンして、ユニクロが一般に思われている以上に良い商品だということが認識されてきたんじゃないですか。僕らはずっとそう思ってきたんですがね。原宿店が雑誌とかテレビに取り上げられてユニクロを初めて知ったり、「これが自分の家の近所にあるユニクロか」と再認識した人も結構多いと思います。

 安さも効いているのでは。

 いや、それほどでもないでしょう。特別安い価格じゃない。スーパーでもジーンズ専門店でも、同じような価格で売っています。ただ彼らは高い商品も並べていますが、我々は安い価格に徹しています。価格よりも高い品質と商品の統一感。「こういう店でこういうものを売っています」ということがはっきりしている点が評価されたんじゃないでしょうか。

 ユニクロは90年代半ばに成長の踊り場がありました。驚くのは、昔から柳井さんは「500店ぐらいが経営の踊り場だ」とか「今のスタイルでは売り上げ1000億円にはなれても3000億円にはなれない」と、はっきり予言してましたよね。だからこそ即座に対策を打ち出せたのでしょうが、これは一種の勘なのでしょうか。

 いや、客観的に見ているからじゃないですか。こうありたいという部分と、客観的に見てこうだという部分とは必ず違います。経営者は主観的に見る部分と客観的に見る部分がないといけない。そうでなければ、我々みたいに急成長している会社はつぶれる可能性があります。