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 今年初めにリストラ計画を発表して、1300人の解雇を決めました。ビジネスモデル自体が幻想だったという厳しい声もあります。

 アマゾンはこれまでずっと、前年を上回る結果を出し続けてきました。当社のビジネスモデルに対して、“懐疑主義(Skepticism)”があるのは健全なことだと思います。投資家は本来、懐疑的であるべきです。1999年はそれが忘れ去られた1年でした。当社は創業から6年経ちましたが、99年を除くと、常に厳しい見方をする人に囲まれてきたんです。

 99年だけが異常だったと。

 インターネット分野への投資に関しては極めて異常な年でした。設立間もない会社が電話1本で6000万ドルを集めることができました。普通では考えられません(笑)。

 株価がピークの110ドルに達した時はどんな心境でしたか。例えばジェットコースターで頂上にいるような気分なのでしょうか。

 それは投資家や証券アナリストなどに聞いた方がいい質問でしょう。直接的な答えではありませんが、米著名投資家のウォーレン・バフェットの師であるベンジャミン・グレアムという有名な教授の言葉を引用したいと思います。彼は「短期的に、株式市場は人気投票である。しかし長期的には、企業の実力を正当に評価する」と言っています。

 当社が、97年の5月に新規株式公開した当時の株価は1ドル50セントでした。現在は約15ドルです。つまり、4年間で10倍になりました。これは非常にいい数字ですし、長期的な視野に立つ株主の多くにとってはいい投資だったと思います。

 97年に株式公開時は、赤字経営の状態がこんなに長引くとは予想していなかったのでは。

 会社がこれまで長期的な予測を出したことはありません。予測はアナリストと投資家がしていることです。株式公開当時、約6000万ドルだった年間売上高は2000年に約30億ドルになりました。過去4年間で50倍です。こんな伸びは、たぶん誰も予測していなかったのではないですか。

どの事業分野からも撤退しない

 年初のリストラの発表時に不採算事業からの撤退に言及されました。

 誤解されやすいのですが、当社は4つのどの事業分野からも撤退するつもりはありません。撤退するのは、個々の製品だけです。例えば、工具類の販売サイトで、枯れ葉を集める「くま手」まで売っていましたが、廉価だし、かさばるので、今後扱いを減らしていくといった具合です。

 書籍から、他のカテゴリーに領域を広げるという戦略自体は間違っていないということですね。

 はい。非常にうまくいっています。新しい事業分野でブランドを浸透させるのは簡単ではありませんが、時間をかけて着実に発展させたい。そのために「革新的」というイメージをいつも持ち続けたいと思っています。

 革新的とはどんな意味ですか。

 ある本を購入しようとしている人に対して、「その本はベストセラー100冊に含まれているかどうか」。購入を決めた人には「あなたの本は5万2348冊目です」と教えてあげる。そんなサービスを提供します。些細な例ですが、従来の書店にはないサービスです。顧客が書いた書評を掲載するという新しいアイデアもある。「ある本を購入した顧客は、ほかにこのような商品を5つ購入している」といった情報も、パソコン画面で見ることができるようになりました。私たちには技術があり、電子商取引に関して強力なシステムもあります。

 インターネットを使った電子商取引で、ライバルになる会社はどこになるのでしょうか。ヤフーやイーベイがすぐ頭に浮かんできますが。