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麺産業を作った誇りと責任

 「おいしさは世界のことば」をキャッチフレーズとする同社だが、海外戦略は出遅れている。米国では東洋水産の後塵を拝し、中国では3%のシェアしかない。1998年にはインドネシア最大の即席麺メーカー、インドフードに30%超の出資をすることで基本合意したが間もなく破談。2003年には台湾企業の統一と中国での提携を決めたが、これも交渉を白紙に戻した。

安藤氏:海外事業は、あせらんでいいんです。この道(即席麺産業)は、うちが作ったんだから。私にはこの産業を作った誇りと責任があります。だからこそ、特許をオープンにし、真っ先に海外進出をしたのです。

 海外事業は即席麺の文化を輸出することが目的であり、儲けようという気はありません。もし、海外で大きな投資をする場合は向こうの人に溶け込んで、生活も食事も一緒にするくらいの覚悟が必要です。そうしないと、大衆の支持を受けることができません。

 日清の社内には百福氏の銅像や肖像画が数多く並ぶ。1999年には大阪府池田市の自宅正面に、自身と日清の足跡を記した「インスタントラーメン発明記念館」を作った。しかし、まだ経営の第一線を退くつもりはない。

安藤氏:人間、年を取るとやがて終着駅にたどり着きます。でも今は、終着駅まであとなんぼ残っているかということは考えない。自分には日清を作った責任がある。だから今も現役でいるんです。このまま行き着くところまで行こうと思っています。

 毎年、年初に4文字の漢字を2つ並べた色紙を書き、社員へのメッセージとしています。今年は「新年和平 奮気隆昌」と書いた。世界平和を望む一方で、気を奮い立たせよ、という意味です。気力を失ったら、うまくいくこともうまくいかん。気がよければ、人が親しみを感じてくれるし、尊敬される。商売する人間は、そうやって気を奮い立たせてこそ、栄えるのです。

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