シリーズ
世界展望~プロの目

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安倍外交の最大の成果は旧敵国・米国との「真の和解」
安倍外交の最大の歴史的成果は、太平洋戦争を戦った旧敵国・米国との「真の和解」だったと後世の歴史家は書くかもしれない。21世紀初頭に東アジアの戦略環境が急変する中、日本が米国との和解なしに、独立国として、同盟国に対するコミ…
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中国が再び景気けん引の機関車に、日本企業に大チャンス
アフターコロナの経済はどうなるのか。リーマン・ショック時と同様に、中国が世界経済回復の機関車の役割を果たしそうだ。そして中国市場での需要拡大は日本企業に恩恵をもたらす可能性が高い。中国は歴史的に日本企業に好感を持っている…
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サウジの沈黙が浮き彫りにするイスラエルUAE和平合意の衝撃
イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が8月13日 、米国政府の仲介で外交関係の樹立について合意した。これは、中東の政治構造再編を象徴する歴史的な出来事だ。アラブ諸国の重鎮サウジアラビアがこの合意について沈黙を守っている…
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中国政治の陰の主役「ナショナリズム」を読み解く
中国共産党の国政運営はナショナリズムと切っても切れない関係にある。感情に流されやすいナショナリズムを、共産党指導部は制御し、国益を損なうことがないように慎重に対処してきた。そのナショナリズムが今、「国粋主義的ナショナリズ…
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イラクのクウェート侵攻から30年、人質経験の思い出
イラクがクウェートに侵攻した湾岸危機から30年がたった。当時、在クウェート大使館に勤務していた筆者は、人質となりバグダッドに連れて行かれた。その過程で、避難を求めてきた米大使館員を保護すべきかという難題に遭遇した。イラク…
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米大統領選、今トランプ選対本部内で何が起きているのか
トランプ選挙対策本部が混乱している。その選挙戦術は、トランプ氏自身が思い付きで決めもので、クシュナー氏や本部長は丸のみしているだけではないのか。筆者がそう考え始めたのは、トランプ氏の姪が出版した暴露本を読んでからだ。精神…
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EUコロナ債で亀裂あらわ、メルケル首相が妥協した理由
EU加盟国首脳は7月21日、約90時間に及ぶマラソン会議の末、約1兆8240億ユーロの対コロナ危機対応策について合意した。決裂という最悪の事態は免れたものの、欧州北部と南部の亀裂の深さが浮き彫りになった。カギとなったのは…
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香港国家安全維持法の隠れた意図は「反腐敗」の徹底
今回は、中国のマクロ経済と香港国家安全維持法をめぐる動向について話す。2020年4~6月期の経済統計が発表された。消費の回復の遅れをインフラ建設と不動産投資の高い伸びが補い、マクロ経済全体は前期に比べて大幅に改善した。こ…
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米国が領土問題に関与へ、いずれ日本は踏み絵迫られる
米国のマイク・ポンペオ国務長官が「南シナ海の海洋権益に対する中国の主張は完全に違法」との姿勢を明らかにし、注目を集めた。だが、米中関係に詳しい、笹川平和財団の小原凡司・上席研究員は、それに続く「中国に領土を侵害されている…
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朝鮮労働党の政治局拡大会議開催は何を語るのか?
朝鮮労働党が7月2日、中央委員会第7期第14次政治局拡大会議を開催した。「第14次」は「14回目」を意味するが、報道されたのはこのうち4回にとどまる。しかも、3回は2020年に集中する。それはなぜか。同会議の歴史と報道の…
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サウジ・イラン・トルコ、新型コロナ危機と中東三国志
サウジ、イラン、トルコは、中東における新型コロナ感染の大国でもある。感染を抑えるべく協力が望まれるが、その気配はみえない。それどころか、トルコはイスラム回帰を進め、「盟主」との自信をのぞかせる。シリア、リビア、イエメンで…
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金融ハブ「香港」を守るため米・中・日本がすべきこと
中国が「香港国家安全維持法」を施行した。香港の将来を憂う声が高まる。中国はどうしてこのように急いだのであろうか。この法律の何が「一国二制度」を揺るがし、香港の将来に暗い影を落とすのであろうか。さらに、日本を含む国際社会は…
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米中にはもう頼れない、日本は「モラルインフルエンサー」を目指せ
日本は今、歴史上で初めて「師」のいない事態を経験している。キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹はこう指摘する。だからこそ、日本独自の優れた価値観を自己認識し、世界に訴え、貢献すべきだ、と訴える。優れた価値観とは…
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ドイツ初の地域ロックダウンで混迷増す次期首相レース
メルケル政権が5月にロックダウン(都市封鎖)を大幅に緩和して以降、クラスター(集団感染)が多発している。ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府は、ギュータースローなど2つの郡で6月23日から1週間にわたり同国初…
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ボルトン「暴露本」が示した、想像を超える日本への関心と信頼
ジョン・ボルトン前米大統領補佐官の回顧録が出版されて1週間がたった。読んで最も驚いたのは、日本に対するボルトン氏の並外れた関心と信頼だった。日本側カウンターパートである谷内正太郎・国家安全保障局長と節目節目で頻繁に会談。…
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敵基地攻撃能力が抑止力にならないこれだけの理由
イージス・アショア配備計画を断念することが決まった。自民党はミサイル防衛の維持・強化のため、敵基地攻撃能力の議論を積極的に進める姿勢を示す。これに対し、海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏は「技術的にも法…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(下)
河野防衛相が6月15日、イージス・アショアの配備計画停止を明らかにした。同システムは、北朝鮮が昨年から頻繁に発射する短距離ミサイルに対処できるのか。朝鮮半島有事は台湾有事につながりかねない。イージス艦の過負荷が続く今、ミ…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(中)
河野太郎防衛相がイージス・アショア配備計画を停止すると明らかにした。問題はブースターの落下制御にとどまらない。カタログしか存在しない新型レーダーの導入決定は、時間を経るとともに多くの矛盾が明らかになった。予定通りの性能と…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(上)
河野太郎防衛相が6月15日、イージス・アショア配備計画を停止すると明らかにした。海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏は、「イージスは米海軍が空母の艦隊防空のために開発した技術で、ブースターの地上落下先を考…
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強硬度増す北朝鮮、狙いは米朝交渉のリセット
北朝鮮が韓国に対する態度を硬化させている。6月16日は、南北関係改善の象徴である共同連絡事務所を爆破するに至った。その意図は何なのか、朝鮮半島政治研究の重鎮である小此木政夫・慶応義塾大学名誉教授は「南北対話と米朝交渉をご…