シリーズ
世界展望~プロの目

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2021年の回顧、米中衝突は「三度目の正直」となるか
100年後の歴史家たちは「2021年」をいかに評価するだろうか。ポイントとなる出来事はアフガニスタン駐留米軍の撤退だ。米国外交・安保政策における「優先順位」が変化し、「テロとの闘い」から「中国の台頭への抑止」に移り始めた…
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早すぎた? メルケル首相の「脱原発」決断と「脱炭素」のジレンマ
まもなく政治の表舞台を去るメルケル独首相は、脱原子力と難民受け入れという大胆な政策を断行。新しい知見を得たら、それを踏まえて変革を実現する政治家だった。後編は脱原子力と新型コロナウイルス危機対策を総括する。
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メルケル首相の功罪、人道主義に基づく難民支援でドイツは分断
まもなく政治の表舞台を去るメルケル独首相は欧州統合の維持に尽力すると共に、難民受け入れという大胆な政策を断行。新しい知見を得たら、それを踏まえて変革を実行する政治家だった。だが難民政策が保守政党を弱体化させ、極右政党に初…
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歴史決議とバイデン・習会談は連動、「抑止」の限界を探り始めた
習近平政権が11月11日、新たな歴史決議を採択した。それから日を置かずして、同国家主席とバイデン米大統領がオンラインで会談した。一見したところ無関係にみえるこの2つの政治イベントは実は連動している。「相手の腹の探り合い」…
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習近平の歴史決議、見るべきはこれからの行動
習近平政権が11月11日、6中全会の場で新たな歴史決議を採択した。中国においては、政権が正しいか正しくないかを歴史が決める。習近平はそれゆえ歴史決議にこだわった。ただし、党員や国民が注目するのは、歴史決議に書かれたことで…
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テレビタレント出身大臣の舌禍で湾岸諸国の怒り買い窮地のレバノン
カルロス・ゴーン日産自動車元会長の逃亡先であるレバノンが窮地に陥っている。テレビタレント出身の大臣がイエメンのフーシ派を擁護する発言をしたためだ。サウジアラビアを中心とする湾岸諸国はイエメン正統政府を支援しており、同政府…
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菅政権は再び対米追従に、岸田政権は米中のバランサーたれ
台湾をめぐる米中の対立は収まる気配がみえない。米国は、中国が台湾への軍事的威圧を高めるのを問題視し、中国への姿勢を硬化させる。これに対して中国は、米国による武器供与の拡大をはじめとするトランプ政権以来の台湾支援の拡大に反…
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日本に原子力潜水艦が必要なら米国からリースするのはどうか
米英豪が協力し、オーストラリアが原子力潜水艦の導入を進める。AUKUSの取り組みの一環だ。これを機に日本でも原潜導入が議論の俎上(そじょう)に上る。日本に原潜のニーズがあるのだろうか。導入にあたり、法的な問題はないのか。…
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内憂外患のタリバンを苦しめるISのテロ攻撃
アフガニスタン全土を掌握したタリバンがISのテロ攻撃に苦しんでいる。イスラム教シーア派を攻撃対象とすることで、タリバン支持者の中の反シーア派を取り込む狙いが読み取れる。さらに、テロ実行犯にウイグル人を加える事例が起きた。…
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中国恒大危機が第2のリーマン・ショックにならない理由
中国不動産大手・恒大集団の債務危機が金融危機につながるのではとの懸念が広がる。だが、その可能性は小さい。中国政府の意図は不健全企業の淘汰だからだ。ただし、不動産投資の減退は7~9月期のGDPを下押しし、2022年の消費の…
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中国が台湾より豊かになる日、台湾の人々は何を思うか?
中国が台湾を武力統一するのでは。この懸念が拭い去れずにいる。しかし、中国が「夢」を実現し、先進国の先頭グループ入りをしたならば、どうなるだろう。1人当たりGDPで、台湾を上回る存在になったら。台湾の人々が中国を見る目も変…
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漂流し始めた米国の対台湾戦略、日本は有事抑止の一角を失う恐れ
「台湾を防衛する」との意図を明確にせよ、との意見が米国で目立ち始めた。米国は従来、防衛するかしないかを曖昧にすることで、①中国による台湾の武力統一と、②台湾の独立を抑えることに成功してきた。米国が明確化戦略に移行すれば、…
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ドイツ、連立政権をめぐる攻防と妥協
ドイツ連邦議会選挙で躍進した社会民主党(SPD)は10月15日、緑の党および自由民主党(FDP)との準備協議を終えて政策合意書を公表。SPDはクリスマスまでに3党連立政権を誕生させると宣言した。
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メルケル党敗退でも、第1党「社民党」首班の連立が予断許さない理由
ドイツの連邦議会選挙で、メルケル首相が率いてきた与党CDU・CSUが第2党に転落した。代わって、第1党となったのは社民党(SPD)だ。CDU・CSUのラシェット首相候補が水害対策で汚点を付けたのに対し、SPDのショルツ氏…
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恒大危機と共同富裕は同根、共同富裕は第2文化大革命ではない
キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は、中国不動産大手・恒大集団の危機と、IT長者や芸能人セレブのスキャンダルは、ある巨大な現象の異なる側面にすぎないとみる。その現象とは。さらに「共同富裕策は文化大革命の再来」…
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アフガニスタン復興をめぐる日本と中国の協力を考える
アフガニスタンからの米軍の撤退が完了した。アフガニスタン紛争を振り返り、欧州の有識者は「米国の性急さ」を問題視する。米国型の民主主義を押しつけ、その成果を早く求めすぎた、というわけだ。日本は、この米国型とは異なるアフガン…
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もしプーチン政権が突然崩壊したら日本はどうなる?
ロシアの下院議会選挙が近づいてきた。選挙結果に大きな変化は起きないかもしれない。しかし、大規模な不正などが明らかになれば、国民の不満がさらに拡大するだろう。これがいつの日か、臨界点を超える可能性がある。仮にプーチン政権が…
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日米同盟と日中共同声明のはざまにある日本
台湾をめぐる緊張に対して日本が取る基本姿勢は、「慎重の上にも慎重を期す」というものになる。米国も、発言に極めて注意して対応している。日本政府は、1972年の日中共同声明を順守し、台湾独立を支持せず、一つの中国政策を堅持す…
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外交と軍事のレッドラインを試し合う米国と中国
台湾問題をめぐる議論が熱を帯びている。情勢を緊迫化させたのは、次の3つの要因があるからだ。第1は、台湾の民主化。これのより、台湾独立を理念とする勢力が政権の座に就くことができるようになった。第2は中国の軍事力強化。経済成…
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タリバンの「勝利」にアルカイダが沈黙している理由
アフガニスタンにおける次なる焦点は、国際テロ組織アルカイダとタリバンが絶縁できるかどうかだ。両者は緊密な関係を保ってきたが、タリバンの勝利に対しアルカイダは反応を示していない。それはなぜか。さらに、イスラム国(IS)の動…