シリーズ
世界展望~プロの目

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ウクライナ停戦協議、最後に効くのは米国の軍事力
ウクライナとロシアの代表が停戦協議を進めている。朗報ではあるが、ウクライナは用心が必要だ。ロシアは狡猾(こうかつ)な国である。中立化については、米国の軍事力による保証を求めるべきだ。欧米諸国は、ロシアという核大国による侵…
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欧州発ウェビナー ウクライナ危機で戦略転換迫られる日本企業
ロシアによるウクライナ侵攻は、旧来の世界秩序を一変させました。欧州諸国は安全保障政策を根本から練り直すことが求められ、エネルギーをロシアに依存する危うさも浮き彫りになりました。30年以上にわたりドイツで取材活動を続ける熊…
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宮本元中国大使「中国はロシアに撤退を促し、NATOに妥協を勧めよ」
ロシアのウクライナ侵攻に終わりが見えない中、中国の動向に注目が集まる。だが、今の中国には仲介の役割を単独で担う意思も能力もない。周恩来から鄧小平までの中国外交は力を発揮していた。それを支えるトップダウンのシステムは今、マ…
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勝者なき韓国大統領選挙
韓国大統領選が3月9日、最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の勝利で決着した。米国の東アジア外交政策に詳しい、宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹はこれについて、3つの点に注目する。第1は「勝者な…
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「第3次世界大戦を防ぐ」鉄則の前にウクライナが見殺しとなる危険
欧米諸国はキエフ攻防戦が近づくにつれ、深刻なジレンマに直面する。ドイツやフランスなどの政治家たちは演説の中で「我々は、欧州の民主主義を守るために戦っているウクライナを支援する」と繰り返す。だが、NATOはウクライナでの流…
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ウクライナ侵攻に揺れる中東 “親米国”でもロシアに及び腰のなぜ
ロシアによるウクライナ侵攻に中東諸国はいかなる対応をしているのか。「欧州と同様の結束」というわけにはいかない。ウクライナの立場を支持しつつも、ロシアの意向を気にかけざるを得ない。UAEは国連総会のロシア非難決議に棄権した…
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平和主義のドイツがウクライナ危機で豹変 防衛費2倍、徴兵復活も
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ドイツ政府は安全保障政策を根本的に変更して防衛予算の大幅な増額に踏み切る。徴兵制の復活についても議論する方向だ。その背景には、この侵略戦争がウクライナだけで終わらないかもしれないという…
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ロシアのウクライナ侵攻で、中国の台湾武力統一はどうなる?
ロシアにとってのウクライナと、中国にとっての台湾の位置づけに似ている部分がある。このため「ロシアのウクライナ侵攻が中国の台湾武力統一をうながす」との見方が根強くある。だが、この見方を否定する理由が大きく3つある。第1は、…
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ウクライナ侵攻はプーチンの“アフガン戦争”、終わりの始まり
プーチン大統領はウクライナに侵攻することでソ連時代の国威を取り戻す考えだ。しかし、それどころかプーチン政権の終焉(しゅうえん)を導きかねない。脱石油・ガスのための投資はもう期待できない。NATOは力を強めた。今後、スウェ…
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中ロ蜜月を演じた裏にある習近平主席の真意
中ロが北京で関係強化――は思い込みだ。共同声明に「ウクライナ」の文字はない。中国は、ロシアの孤立に付き合う気はなく、「中ロ同盟」を演出し欧米を慌てふためかせることを狙った。米国がウクライナに軍事介入することはなくても、台…
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ドイツは「仮想敵国」ロシアへのガス依存から脱却できるか?
ドイツの現政権を担う社会民主党(SPD)はロシアとの経済関係強化が次なる戦争を抑止すると考えてきた。それゆえ天然ガスの供給をロシアに頼る。だがロシアは昨年来、ガスの供給をしぼっている。ウクライナ危機をめぐって西欧が対ロ制…
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中国経済のカギ握る不動産不況の実像
2022年の中国経済の浮沈は不動産市場が握っている。同市場の動向は、成長エンジンであるインフラ投資にも影響を及ぼすからだ。政府は不動産市場に対する買い手の信頼を取り戻すべく、不動産デベロッパーが持つ銀行口座の監視・凍結を…
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欧州の盟主ドイツがウクライナ軍事支援に二の足を踏むわけ
欧米諸国がウクライナにミサイルやロケットなど武器の供与を進める中、ドイツの支援はヘルメット5000個にとどまる。その背景には、ナチス・ドイツ軍がソ連領土に侵攻し深刻な被害を与えた記憶がある。さらに天然ガスと石油の供給をロ…
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高進する米インフレ、夏に沈静化が見込まれる理由
インフレ懸念が高じている。ただし、短期的には夏に収束する見込みだ。秋に大統領選を控えるバイデン米政権にとってインフレ抑制は勝利への条件となる。ただし、長期的には物価上昇要素が並ぶ。ESG、環境、人権、セキュリティー対策は…
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サウジ、1億人を擁するムスリム団体と対立することの是非
サウジアラビアが「世界最大のムスリム団体」といわれる「タブリーギー」を非合法化した。その存在は「テロリズムへの扉」だという。だがその証拠は希薄だ。ムハンマド皇太子への批判が高まるサウジにとって、この対立はいかなる意味を持…
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22年の中国経済成長は5%割れも、情勢は田中角栄時代と重なる
2022年の中国経済を展望する。経済成長率は5%を割り込むこともありそうだ。中国政府は雇用の安定が続く限り成長率にはこだわらず、極端なてこ入れはしない。その経済情勢は、日本の高度成長末期と重なる点が多い。
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プーチン大統領の「大祖国戦争パート2」が始まった
米ロ首脳会談、カザフスタンでの衝突、日米2プラス2――。年末から2週間、世界を騒がすイベントが相次いだ。これらは一見したところ無関係な事象にみえるが、ロシアの視点に立てば1つの文脈でつながる。プーチン大統領の目には、19…
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原子力発電のグリーン認定をめぐりドイツとEUが対立
欧州連合(EU)は、原子力発電を地球温暖化の緩和に貢献するエネルギーとして認定する方針を明らかにした。脱原子力発電を進めるドイツはEU提案を強く批判。エネルギー政策をめぐる不協和音が生じている。
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2022年からの対中国・ロシア関係で重視すべきは実は欧州
米国の国力が相対的に低下し、世界は多極化へと向かいつつある。そのとき、日本は中国・ロシアといかなる関係を取るべきか。重視すべきは欧州だ。日米欧が協力して多極化世界のリーダーシップを取るべきだ。
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ドイツ新政権、オミクロン株の襲来に備えワクチン義務化を初導入
ドイツで12月8日に発足したショルツ政権の最初の難局は、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」との戦いだ。政府・議会は2022年1月に感染者数が再び急増すると見て、ワクチン接種の部分的な義務化など対策の強化に踏み切っ…