シリーズ
世界展望~プロの目

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プーチンのエネルギー戦争で独最大のエネ企業が破綻寸前に
ドイツへの天然ガス供給量をロシアが削減したため、独最大の電力・ガス企業が倒産の瀬戸際に追い込まれている。独政府は約2兆円の公的資金を投入して救済することを決めた。ロシアがガス供給を止めた場合、今年冬に向けて、ドイツ経済は…
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「核の時代」が復活、危機に陥る核軍縮
米国で核拡散防止条約(NPT)再検討会議が始まった。NPTは核兵器の不拡散と軍縮に関する唯一の多国間の国際的枠組みだ。この会議を成功させなければならない。ロシアは核による恫喝(どうかつ)に及び、中国は核戦力の増強に向かう…
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失速した中国経済、2022年下期を決める3つのポイント
中国経済は2022年4~6月期、大きく失速した。実質GDPの成長率は前年同期比0.4%。新型コロナウイルス禍が始まった直後の20年4~6月期(マイナス6.8%)に次ぐ低水準だ。中国政府が通期目標に据えた「5.5%前後」の…
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「安倍氏ほど米国の対中戦略に影響を与えた人は世界にいない」
米ブッシュ政権で対日外交の一翼を担ったマイケル・グリーン氏が安倍晋三・元首相の死を悼む。グリーン氏は安倍氏を「吉田茂以来、最も重要な政治家」と評する。オバマ政権は当初、安倍氏の対中姿勢を「挑発的に過ぎる」と警戒した。これ…
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追悼:安倍晋三流の「トップ外交」はどう成功し、失敗したか
第1次安倍政権で首相公邸連絡調整官を務めた宮家邦彦氏が安倍外交を振り返る。同氏は元外交官で日米安全保障条約課長などを歴任した。同氏は安倍氏を偉大な外交戦略家と評す。トランプ前大統領とは「なぜ安倍首相はよい関係なのか」との…
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NATOが対ロ・対中の二正面作戦へ
NATO(北大西洋条約機構)が6月下旬、スペインの首都マドリードで首脳会議を開催した。この会議は、まさに「歴史的」という形容詞がぴったりだ。ロシアだけではなく、中国に対しても厳しい態度で臨む新方針を打ち出した。ドイツのシ…
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NATOが冷戦終結後、最大規模の兵力増強を決断
NATO(北大西洋条約機構)が6月下旬、スペインの首都マドリードで首脳会議を開催した。この会議は、まさに「歴史的」という形容詞がぴったりだ。NATOはロシアをけん制すべく、冷戦後最大規模の兵力増強を決断した。さらに、スウ…
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崩れる中国の長期戦略、一体化する米欧にアジア太平洋が加わる
NATOが6月29日、新しい「戦略概念」を承認した。中国に初めて言及し「中国の野心と強圧的政策は、われわれの利益、安全及び価値に対する挑戦だ」と認定した。欧州と米国は対中国で共同歩調を取る。さらに、これに日韓豪ニュージー…
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米国が進める対中強硬策3点セット、台湾、囲い込み、競争法
米国が対中強硬策を強めている。その攻め手は台湾への関与強化、友好国を巻き込んでの囲い込み、投資規制を強める競争法の制定だ。こうした手を講じる背景には、米国内の深刻な分断がある。欧州諸国は米国とは距離を置く構え。日本が米国…
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ロシアからのガス供給が大幅減! ドイツで原発運転継続論議が再燃
ドイツ経済に、第2次世界大戦後最悪の危機が近づいている。ロシアが、パイプラインを通じてドイツに供給する天然ガスを通常の半分以下に減らしたのだ。ドイツ政府はガス逼迫警報を発令。残る3基の原発の運転継続について議論が再燃して…
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ムスリム諸国のLGBTQ事情、戒律は禁じていても…
ディズニー・ピクサーが制作したアニメーション映画「ライトイヤー」がアラブ首長国連邦(UAE)で上映禁止になった。有名な「トイストーリー」シリーズの作品なので、「子ども向けのアニメ(と、少なくとも筆者は認識していた)で何が…
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中国に求められる「方向転換」、「自ら」させるのが日本の使命
中国の習近平政権は、ウクライナに侵攻したロシアを非難することなく、その責任を米国に転嫁する。中ロが一体化したように見える「仮想的な冷戦」はいずれ真の冷戦を蘇らせかねない。そうならないよう中国は方針転換する必要がある。ただ…
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ウクライナ後の岐路、ドイツは「正義」を選び中国依存を減らすか?
ドイツにとって中国は最重要の貿易相手国である。だがドイツでは、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、政経分離主義を改め対中依存度を減らすべきだという意見が強まっている。経済界は難しい判断を迫られる。
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進化するクアッド、ロシアと中国の「名指し」より大事な成果
岸田首相が一連の首脳外交を終えた。「首脳外交かくあるべし」の見本のような流れだった。しかし、筆者には7つの疑問が残った。(1)クアッドはなぜ、ロシアのウクライナ侵攻を非難しないのか。(2)クアッドはなぜ、中国を名指しで批…
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米欧で「反中」高まる 対中投資縮小は習氏の政権基盤揺さぶる
米欧で反中感情が高まっている。ウクライナ紛争が長引く中、ロシアと中国を一体視する傾向が強まっているからだ。ゼロコロナ政策も不人気。中国でビジネスをする欧州企業の中で、撤退を検討する企業が増えている。米欧企業の従業員レベル…
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ウクライナ侵攻で欧州は一変 「以前の常識は当てはまらない」
ウクライナ危機がどのように収束するのか、現時点では見通しが立たない。確実なのは、世界がさらに不安定になり、日本も無縁ではいられないということ。日経ビジネスLIVEは、ドイツを拠点に活動するジャーナリストの熊谷徹氏を招いて…
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ウクライナ戦争で沈む「欧州のリーダー」ドイツ
ドイツのショルツ政権が、ウクライナ戦争をめぐって非難の嵐にさらされている。戦車など重火器のウクライナへの供与が遅れていることと、ロシア産ガスの輸入即時停止に反対していることが理由だ。かつて様々な危機でリーダーシップを取っ…
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「中ロ蜜月」の選択が習近平氏の続投阻む攻撃材料に!?
中国の習近平国家主席は北京オリンピック開会直前にロシアのプーチン大統領と会見し、中ロ蜜月をアピールした。今後も長く続くであろう米国との対立を戦う上で、ロシアカードの存在は大きい。だが、この判断が、ロシアによるウクライナ侵…
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「台湾を国家として承認せよ」、ポンペオ発言は日中戦争への導火線
「米国は、台湾を主権国家として承認すべきだ」。トランプ米前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏が台湾を訪れ、こう発言した。米国の世論と議会はこれに同調する傾向にある。台湾でも、次期総統の有力候補が独立を主張している。…
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プーチンの「ルーブル決済」指令で「ドイツ基幹産業が消滅の危機」
ロシアのウラジミール・プーチン大統領が3月、「非友好国が支払うガス代金はルーブルに限る」と発表した。この発表はドイツの経済界をパニックに陥れ、ガスという「ものづくり大国」の血液が人質に取られた実態を浮き彫りにした。