シリーズ
世界展望~プロの目

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BREXIT再延期が浮き彫りにする、英国・EU危機の深淵
EUは4月10日夕刻からブリュッセルで開いた首脳会議で、英国のEU離脱(BREXIT)の期限を10月31日まで再び延期することで合意した。度重なる延期は、EUと英国の手詰まり状態の深刻さを示唆している。
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米中貿易協議の膠着が意味するもの
米中の間で閣僚級協議が続いている。だが、北京からワシントンに場所を移しても双方の間にある溝は埋まらない。これまでの経過を元に5つのポイントを指摘する。一つは、米国には首脳会合を急ぐつもりがないということ。6月にずれ込む可…
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高まる米の反中感情、ただし米中覇権戦争は起きない
米国で、反中感情がこれまでになく高まっている。トランプ政権はもちろん議会やメディアにも飛び火している。これを受けて、覇権を巡る米中の戦争が起こり得る、との見方が浮上している。しかし、筆者はこれを否定する。
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英EUの合意なき離脱で失うものが見えてきた
英議会は欧州連合(EU)離脱の方針を決められず、4月12日に合意なく離脱する可能性が高まっている。英政府は合意なき離脱に備えるが、医薬品の不足や食料品価格の上昇など国民生活に影響が出そうだ。業界別では製造業や農業、接客業…
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タクシン派の善戦に終わったタイ総選挙
タイの総選挙ではタクシン派が善戦した。国民がタクシン派を支持する理由はどこにあるのか。ポピュリスト的性格に注目が集まるが、実は改革に積極的な専門家とネットワークを築いていることがある。いずれの勢力が次期政権を担うにしても…
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ゴラン高原のイスラエル主権承認は北方領土問題に禍根
トランプ大統領は、イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原におけるイスラエルの主権を認める宣言に署名した。ゴラン高原をめぐる対応で日本は、もう少し毅然とした態度を示してもよい
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第三回米朝首脳会談に向けた準備は始まっている?
2月末のハノイ・サミットが決裂した後、北朝鮮の完全非核化や朝鮮戦争を終了させるための合意が容易ではないことを示すような情報が発信されている。しかし、両首脳は基本的に沈黙を続けており、両国の関係が完全に悪化したことを示唆す…
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記者殺害で批判浴びるサウジ皇太子を日本は受け入れる?
ジャーナリストのカショギ氏が殺害される事件が起きて以来、サウジと同国を率いるムハンマド皇太子への風当たりが強くなっている。そんな中、6月に大阪で開催されるG20に同皇太子が出席するのかが注目されている。来日受け入れは「み…
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米朝物別れ、「安易な妥協がなくよかった」ではすまない
先の米朝首脳会談について「安易な妥協がなくてよかった」との評価がある。果たしてそうだろうか。寧辺濃縮ウラン施設の重要性を考えると、これの廃棄を確実にする選択肢もあった。トランプ大統領は、北朝鮮と合意しても「コーエン証言の…
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全人代から見る中国、「修正の兆候あり」との判断は尚早
中国で全人代が閉幕した。李克強首相は経済の現状について適切な情勢判断を示した。今後は、対策を実行できるかどうかがカギとなる。共産党は驚異的な経済発展を実現したものの、これが速すぎて現場での経験が蓄積できていない。対米関係…
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金正恩は大統領になるのか?!
北朝鮮で最高人民会議の選挙が行われた。異例なことに、金正恩委員長は当選しなかった。このままでは執政長官である国務委員会委員長の職務も失う。同氏の狙いは直接選挙で選ばれる“大統領”になることではないか。首脳外交に一層注力す…
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BREXIT延期申請は時間稼ぎ、合意なき離脱の妖怪は消えず
英国議会下院がBREXIT延期申請に青信号を出したことで、3月29日に合意なき離脱が起こる可能性は遠のいた。だが離脱の条件をめぐるEUと英国との対立は残ったまま。「合意なき離脱」という妖怪が完全に消え去ったわけではない。
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北朝鮮の核、米軍撤収――半島情勢が日本を揺らす
北朝鮮が実質的な核保有国となるのを米国が事実上黙認する時、または在韓米軍の再編成が始まる時、1953年以来維持されてきた東アジアの安全保障環境は激変する。平和国家日本にとって理想的安全保障環境はもはや永遠ではない。
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東南アジアの選挙―代わる政権と「代わらない」閣僚
東南アジアの国々を見渡すと、敵対するように見える二つの政権において閣僚の席を占め続けるテクノクラートがいる。例えばタイのソムキット副首相だ。彼らはいずれも、高い学識と国際性を有する。米国の有力大学に学び、大学で教鞭をとれ…
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「ラストワンマイル」で先送りに転じた米朝首脳会談
ハノイで行われた第2回米朝サミットは合意書に調印せずに終了した。なぜ合意ができなかったのか、米国務省の政策に詳しい酒井吉廣・青山学院大学大学院講師が解説する。
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物別れの米朝会談、溝が埋まらなかったウラン濃縮施設
米朝首脳会談が物別れ手に終わったのは想定された事態だった。北朝鮮は、ウラン濃縮施設を全面的に放棄することはない。米朝で意見が分かれる制裁の「完全解除」か「部分解除」かは部分解除が正確だ。今後の交渉は非核化と安全保障を取引…
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米朝会談の署名阻んだ金日成流の交渉術
第2回の米朝首脳会談が2月27~28日に行われ、合意文書に署名することなく終了した。朝鮮半島情勢に詳しい武貞秀士・拓殖大学大学院特任教授は、北朝鮮が「パルチザン思想に基づく賭け」に出たことが原因と分析する。一方、日本の外…
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トランプ政権下で想定可能な3つの株高シナリオ
2019年もトランプ氏の動きが世界の株式市場にとっての最重要テーマです。昨年のように悪材料一辺倒となるのでなく、逆に好材料となる場合もあり得ます。トランプ氏の動きが、株式市場の好材料になるシナリオについて考えてみます。
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個人関係重視のトランプ流、浮上するメルケル氏との確執
米国と欧州との関係において、心配なのがトランプ米大統領とメルケル独首相との関係の悪さだ。経済的合理性などとはまったく異なる理由から、ドイツ車輸入に関税をかけよう、と言いかねない。
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カルロス・ゴーンを大統領に本気で推すレバノンの声
ラテンアメリカにおいてアラブ系のリーダーが相次いで誕生している。これが新たな嵐のタネになる可能性がある。レバノン系のパラグアイ大統領は同国の在イスラエル大使館をテルアビブに再移転した。レバノンでは、カルロス・ゴーン氏を大…