シリーズ
世界展望~プロの目

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米国が領土問題に関与へ、いずれ日本は踏み絵迫られる
米国のマイク・ポンペオ国務長官が「南シナ海の海洋権益に対する中国の主張は完全に違法」との姿勢を明らかにし、注目を集めた。だが、米中関係に詳しい、笹川平和財団の小原凡司・上席研究員は、それに続く「中国に領土を侵害されている…
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サウジ・イラン・トルコ、新型コロナ危機と中東三国志
サウジ、イラン、トルコは、中東における新型コロナ感染の大国でもある。感染を抑えるべく協力が望まれるが、その気配はみえない。それどころか、トルコはイスラム回帰を進め、「盟主」との自信をのぞかせる。シリア、リビア、イエメンで…
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朝鮮労働党の政治局拡大会議開催は何を語るのか?
朝鮮労働党が7月2日、中央委員会第7期第14次政治局拡大会議を開催した。「第14次」は「14回目」を意味するが、報道されたのはこのうち4回にとどまる。しかも、3回は2020年に集中する。それはなぜか。同会議の歴史と報道の…
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金融ハブ「香港」を守るため米・中・日本がすべきこと
中国が「香港国家安全維持法」を施行した。香港の将来を憂う声が高まる。中国はどうしてこのように急いだのであろうか。この法律の何が「一国二制度」を揺るがし、香港の将来に暗い影を落とすのであろうか。さらに、日本を含む国際社会は…
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ドイツ初の地域ロックダウンで混迷増す次期首相レース
メルケル政権が5月にロックダウン(都市封鎖)を大幅に緩和して以降、クラスター(集団感染)が多発している。ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府は、ギュータースローなど2つの郡で6月23日から1週間にわたり同国初…
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米中にはもう頼れない、日本は「モラルインフルエンサー」を目指せ
日本は今、歴史上で初めて「師」のいない事態を経験している。キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹はこう指摘する。だからこそ、日本独自の優れた価値観を自己認識し、世界に訴え、貢献すべきだ、と訴える。優れた価値観とは…
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ボルトン「暴露本」が示した、想像を超える日本への関心と信頼
ジョン・ボルトン前米大統領補佐官の回顧録が出版されて1週間がたった。読んで最も驚いたのは、日本に対するボルトン氏の並外れた関心と信頼だった。日本側カウンターパートである谷内正太郎・国家安全保障局長と節目節目で頻繁に会談。…
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敵基地攻撃能力が抑止力にならないこれだけの理由
イージス・アショア配備計画を断念することが決まった。自民党はミサイル防衛の維持・強化のため、敵基地攻撃能力の議論を積極的に進める姿勢を示す。これに対し、海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏は「技術的にも法…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(下)
河野防衛相が6月15日、イージス・アショアの配備計画停止を明らかにした。同システムは、北朝鮮が昨年から頻繁に発射する短距離ミサイルに対処できるのか。朝鮮半島有事は台湾有事につながりかねない。イージス艦の過負荷が続く今、ミ…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(中)
河野太郎防衛相がイージス・アショア配備計画を停止すると明らかにした。問題はブースターの落下制御にとどまらない。カタログしか存在しない新型レーダーの導入決定は、時間を経るとともに多くの矛盾が明らかになった。予定通りの性能と…
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ブースターは一部、陸上イージスが無理筋なこれだけの理由(上)
河野太郎防衛相が6月15日、イージス・アショア配備計画を停止すると明らかにした。海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏は、「イージスは米海軍が空母の艦隊防空のために開発した技術で、ブースターの地上落下先を考…
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強硬度増す北朝鮮、狙いは米朝交渉のリセット
北朝鮮が韓国に対する態度を硬化させている。6月16日は、南北関係改善の象徴である共同連絡事務所を爆破するに至った。その意図は何なのか、朝鮮半島政治研究の重鎮である小此木政夫・慶応義塾大学名誉教授は「南北対話と米朝交渉をご…
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香港情勢、思い起こされる英中攻防と天安門事件前夜
香港問題の動向は、今後の世界情勢に多大な影響を及ぼすことになる。香港をめぐって、中国と民主主義諸国はなぜ対立を深めるのか。1つのカギは、植民地化から返還にいたるまでの英中の攻防だ。さらに、現在の香港の姿は天安門事件当時を…
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朝鮮労働党が核抑止力の強化を機関決定
北朝鮮が5月下旬に、昨年末に続いて、米国に対抗するための重要な軍事決定をした。朝鮮労働党が「米国に対抗するための核抑止力を強化する」と決定したのだ。核兵器とミサイルをさらに強化することになる。それらの開発を主導してきた2…
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日独のコロナ検査体制はなぜ大きく異なったのか?(下)
日独のPCR検査実施件数に大きな違いがある背景には、ドイツが民間の検査キャパシティーを日本よりも積極的に活用した事実がある。
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日独のコロナ検査体制はなぜ大きく異なったのか?(上)
日独は、ともに新型コロナウイルスによる死者数を他国に比べて低く抑えることに成功したが、両国の戦略の間には大きな違いがあった。その1つが検査戦略である。ドイツは世界で最も早く検査体制を拡充することにより、死亡率を西欧主要国…
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香港国家安全法の制定は、台湾、南シナ海、尖閣に続く
中国の全人代が5月28日、香港国家安全法を導入する方針を圧倒的多数で承認した。国際法上拘束力を有する約束を事実上ほごにする姿勢は、台湾、南シナ海、尖閣諸島にも向けられかねない。そうなった際に安全保障の観点から最も悪影響を…
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サウジの苦難、ウイルスと油価下落と聖地守護の方程式
サウジアラビアが新型コロナウイルスの感染拡大に苦しんでいる。聖地を抱える同国には他のイスラム教国から多くの巡礼者が訪れる。感染抑止は容易ではない。他方、経済の復旧を進めなければ、人々の暮らしが持たない。原油価格の下落が重…
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中国が8兆元の財政出動、リーマンの轍は踏まない
中国が全人代を開催した。新型コロナ危機で落ち込んだ経済を復興すべく約8兆元の財政出動を実行する。ただし、その内容は用心深い。リーマン・ショック対応での失敗から得た教訓が反映している。中国が同じ轍(てつ)を踏むことはないだ…
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コロナ相場第2幕、信用リスクを招く3つの危険
世界の株式市場は3月の安値から大きく回復したが、安心はできない。低格付け債が膨らみリーマン・ショック発生時の10倍に達した。これが値崩れすれば信用リスクにつながる恐れがある。値崩れの起点となり得るのは、ユニコーン、REI…