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12月12日に実施される英総選挙が白熱している。当初は各種世論調査の支持率で、与党の保守党が大きくリードしていたが、足元では野党の労働党が追い上げている。労働党のコービン党首は、社会インフラ事業の国有化など社会主義的な政策を掲げており、労働党政権の誕生は金融市場に衝撃を与えそうだ。前回の英総選挙では保守党の圧勝と予想されながら議席を減らしたため、今回も予断を許さない状況だ。

 12月12日の英国総選挙は英国のEU離脱(ブレグジット)が争点となっており、各政党もマニフェストにそれぞれの方針を掲載している。保守党は、2020年1月末にブレグジットを実現し、EUとの通商協定交渉に移ること、そして2020年末までの移行期間内に同協定を締結し、移行期間を延長しないことを明記している。

 一方、労働党は残留・離脱という明確な意思を示せていない。総選挙で勝利した場合、新たな離脱合意を獲得し、この合意に基づく離脱か残留かの選択肢で2回目の国民投票によって決着をつけるという(新たな離脱合意交渉に3カ月、その結果に対して6カ月以内に国民投票を実施)。

 つまり、ブレグジットを前提としてEU側と再交渉するものの、国民投票でそれが認められなければ、離脱を撤回するというどっちつかずの方針である。なお、自由民主党は過半数を獲得すれば、国民投票を実施せずに、50条行使を無効化し、ブレグジットを中止するという。

 選挙戦の当初から保守党が世論調査で首位を走っている。それは、離脱派有権者からの支持を集めているからではなく、残留派有権者の票が割れているためとされる。どっちつかずのブレグジット方針が、労働党の大幅議席減を招くうえ、離脱撤回を掲げる自由民主党と残留派有権者の票を奪い合うとみられていた。票が分散すれば、小選挙区の英国では非常に不利に働く。

 なお、ファラージ党首率いるブレグジット党が、保守党が議席を持つ選挙区にはブレグジット党候補を擁立しない方針を立てたため、離脱票の分散が回避されたことも追い風となっていた。

支持率で保守党を追いかける労働党のコービン党首(写真:AP/アフロ)

 ただし、ここにきて労働党が追い上げている。直近の世論調査を見ると、保守党との支持率の差が縮小していることが分かる。この差が、6~7ポイントより下がるとハングパーラメント(どの政党も過半数を取れない状態)に陥る可能性が高くなるといわれている。10月末から11月2週目までの各種調査では14ポイント差があったものが、12月3日時点では9ポイント差までその差が縮小している。保守党が安定的な過半数を取るためには、同10ポイントの差が必要ともいわれている。

(出所)YouGov社より大和総研作成