日本国内での情報発信も含まれます。最近のように日中関係が悪化していると日本企業の対中投資は歓迎されないのではないかと思われがちですが、実は中国のどの地方政府も日本企業の投資拡大を大歓迎しています。それは日本企業から先端技術を奪うことが目的だと誤解している人も多いと思います。実際には、最先端のハイテク技術でなくても、日本企業の磨き抜かれた匠(たくみ)の技やきめ細やかなサービスは中国各地で引っ張りだこです。

 このように中国の投資環境について誤解している多くの日本人に中国市場の現場の第一線から正しい情報を伝える。日本では政治外交の影響で反中感情が高まる中、ビジネスに関するネガティブなバイアスのかかった情報が広がりやすく、投資の足を引っ張る傾向があります。現実にはポジティブな情報も存在します。これは米欧にも共通する傾向。そうした誤解を米欧の商会は修正する機能を担っています。

 メディア対応も重要です。メディアに対し、中国に関する情報を中立的な立場で提供する。現在の情報発信主体は個別の企業、日本貿易振興機構(JETRO)、在中国日本大使館などに限られます。決して十分とは言えません。よって、経済に詳しい、信頼できる存在としてこれらに加わる。日本のメディアに正しい情報を伝えるとともに、中国メディアにも誤った報道をさせない機能を果たすのです。

 そして第4は、中国日本商会が中国各地に展開する支部との連携強化です。現状は各地の間の連携が十分とは言えません。情報を共有し、一体となって発信することで影響力を増すことができます。

課題は人材と財源

 課題は人材と財源です。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1656文字 / 全文5043文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「世界展望~プロの目」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。