イスラエル首相、ムハンマド皇太子と極秘会談か(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(「バイデン政権の対中東政策、イラン、イスラエル、サウジはどうなる」も併せてお読みください)

 思いがけないニュースが飛び込んできた。イスラエルのメディアによれば、同国のネタニヤフ首相が11月22日、秘密裏にサウジアラビアを訪問し、同国のムハンマド皇太子(MbS)と会談したというのである。さらに、サウジに滞在していたポンペオ米国務長官とも会談したとのことだ。ネタニヤフ首相にはイスラエルの諜報機関モサドのヨシ・コーヘン長官が同行したと報じている。

 ネタニヤフ首相と米・サウジ要人との会談問題が浮上したきっかけは、ネタニヤフ首相を乗せたプライベートジェットが、テルアビブを飛び立ち、サウジアラビアの紅海側にあるNEOMへと短時間飛行したことが判明したことだった。フライト・トラッキング・データが追跡された。このプライベートジェットはネタニヤフ首相がオマーンを訪問したときにも使ったものとされる。

 このNEOMへの短時間飛行とちょうど同じ時期に、ムハンマド皇太子とポンペオ国務長官がNEOMで会談する予定だったことから、ネタニヤフ首相が会議に加わったと推測された。同長官は11月18日からイスラエル、UAE(アラブ首長国連邦)、カタル(以下、カタール)、サウジアラビアを歴訪していた。

 なお、NEOMはサウジアラビア北西部の紅海沿岸に新たに造られた産業都市で、サウジアラビアの脱石油依存のための改革「サウジ・ビジョン2030」の目玉の1つ。さらに紅海沿岸のリゾート開発を進める「紅海プロジェクト」とともにエジプトやヨルダンだけでなく、イスラエル、パレスチナまで含めた巨大な構想になるともいわれている。仮にネタニヤフ訪問が事実とするなら、NEOMが会談場所に選ばれたのには、単に場所的に近いだけでなく、より実利的な思惑が含まれていた可能性もある。

3者会談は行われたのか

 ただし、3者による会談があったかどうか定かでない。

 ポンペオ長官は「ムハンマド皇太子との会談は建設的だった」と述べているが、ネタニヤフ首相に関しては一切触れていない。サウジのフェイサル外相(以下、ファイサル外相)は「ムハンマド皇太子とポンペオ国務長官の会談に同席していたのはサウジ人と米国人だけだ」と述べ、ネタニヤフ首相が会談に加わっていたことを否定した。

 ちなみに、ファイサル外相が否定しているのは、ムハンマド皇太子とポンペオ国務長官との会談にネタニヤフ首相らが加わっていたこと。ネタニヤフ首相ら、あるいはイスラエル政府当局者がサウジアラビアを訪問して、ムハンマド皇太子と会談したこと自体を否定しているわけではない。

 サウジはフライト・トラッキング・データを否定するのが困難であるため、「イスラエルから誰か訪れたかもしれないが、ムハンマド皇太子とポンペオ国務長官との会談には参加していない」という線で突っぱねようとしているのであろうか。

 ネタニヤフ首相とムハンマド皇太子との会談については、フランスの国際ニュース専門チャンネル「France24」が「イスラエルのヨアヴ・ガランツ教育相(以下、ガラント教育相)が11月23日、ネタニヤフ首相とムハンマド皇太子との秘密会談をコンファームした」と報じた。11月23日付ウォール・ストリート・ジャーナルはサウジのアドバイザーの発言を引用し、NEOMでの会談はネタニヤフ首相とムハンマド皇太子とだけで、ポンペオ国務長官は参加していないと報じている。

 これらの事実関係について、イスラエル首相府はコメントを差し控えるとしている。米国務省と在イスラエル米大使館も、日本時間11月24日14時現在、報道についてコメントしていない。

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