日本が海外での安定化作戦に参加するのは難しい面があります。これを疑似体験し経験値を高めるすべはありますか。

青井:日本が現行法制内でできる平和支援、後方支援や、国連PKO(平和維持活動)、災害救助活動の場を生かすことでしょう。他国との共同訓練も役立ちますね。加えて、北朝鮮に対する制裁がきちんと実施されているかを監視する活動も学びの場として利用できます。例えば、瀬取りを行っている船舶の写真をどこまで公開するか。公開するなら、どのようなタイミングでするか。何よりも省庁間調整、また国際的調整の経験値を高めることです。

コミュニケーションの人材育成を

 あとは人材の採用と養成ですね。

 英国では、外務・英連邦省だけでもコミュニケーションの専門人材を250人ほど採用しています。コミュニケーションの専門家は様々なバックグラウンドを持っており、例えば、英国放送協会(BBC)のジャーナリストなどから戦略的コミュニケーションの分野に鞍替え(くらがえ)する人もいます。コミュニケーションの専門家と政策担当者がチームを構成して政策策定、実施、評価に当たる体制を取っています。

 民間のコンサルタント会社に委託して、政府外の人材を活用する動きもあります。英ブレイクスルーは戦略的コミュニケーションを専業とする1社です。

 養成については、政府コミュニケーションサービスという部署があり、政府が取るコミュニケーションの専門性を一定レベルに保つよう恒常的に管理しています。政府を挙げてコミュニケーションの専門家を養成し、各省庁に派遣している。大学も専門家養成の必要性に敏感に反応しています。英ロンドン大学キングスカレッジは2016年に戦略的コミュニケーションの修士コースを設置しました。年に50人ほどの修士を輩出しています。

 一方、日本は、政府・自衛隊などにおいて、コミュニケーションの専門家を政策過程に組み込むことの必要性、専門家を養成することの必要性について認識が甘い。早急に人材養成の対策を取る必要があります。

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