共産党は自らの「正史」を書く立場にない?
そうだとすれば、今回の歴史決議は、毛沢東と鄧小平の権力闘争勝利の結果として生まれた過去2回の「歴史的問題に関する決議」とは異なり、中国共産党の「歴史的正統性」を確定する文書としての性格が強いのではないかと筆者はみる。しかし、共産党を含む歴代王朝の歴史的正統性を記す文書は、通常、中国では「正史」と呼ばれるものだ。共産党がこのような文書を発表すること自体に筆者は「若干の違和感」を覚えざるを得ない。
伝統的に中国では、王朝が滅んだ際に、次に正統を継いだ王朝が国家事業として、前王朝の皇帝ごとの「実録」を基に「正史」を編纂(へんさん)してきた。この作業により、王朝が正統に代替わりしたことを世間に知らしめるのだという。そうだとすれば、中国共産党が前王朝である清朝、あるいは中華民国の「正史」を書くことはできるが、今回の第3「歴史決議」のような、共産党自らの「正史」を書くことはできないはずである。
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