第2の聖地「メディナ」も観光資源に

 観光に触れたついでに、マディーナ(以下、メディナ)訪問についても触れておこう。今回のサウジアラビア出張では、サイドラインだったものの、イスラム第2の聖地であるメディナを初めて訪問できたのもいい経験だった。

 メディナはジェッダの北、約400キロメートルに位置するメディナ州の州都である。西暦622年に、預言者ムハンマドがメッカでの迫害を逃れ、信徒とともに北のヤスリブという町に移住した。これがイスラム暦(ヒジュラ暦)の元年になる。以後、その町は「預言者の町(マディーナトゥンナビー)」あるいは「使徒の町(マディーナトゥッラスール)」と呼ばれ、略して「マディーナ(メディナ)」となった(「光り輝くメディナ」とも呼ばれる)。

 預言者ムハンマドがここに建てたモスクが「預言者モスク」であり、ここが預言者の自宅でもあり、埋葬地にもなった。サウジアラビア国王の敬称は「二聖モスク(ハラマイン)の守護者」であるが、この「二聖モスク」とはカァバ(以下、カーバ)神殿のある「ハラーム・モスク」とメディナの「預言者モスク」を指す。

メディナの預言者モスク
メディナの預言者モスク

 サウジアラビアは従来、メディナ州の一部観光地を除き、メッカとメディナという2つの聖地への異教徒の立ち入りを禁止していた。しかし、近年、メディナに関しては大幅に規制を緩和し、聖地の中心となる預言者モスクにも異教徒が入ることを許すようになっていた。仏教徒である筆者が預言者モスク構内に入ったときも、特にとめられたり、調べられたりすることはなかった。

ジェッダからマッカに行く途中の道路にあった標識。「ここから先、異教徒立ち入り禁止」とある(撮影は2012年)
ジェッダからマッカに行く途中の道路にあった標識。「ここから先、異教徒立ち入り禁止」とある(撮影は2012年)

 他方、メディナ市内の宿泊について、異教徒を受け入れてくれるホテルは限定されていると聞いたが、こちらは、きちんと確認したわけではない。

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