ロシア下院選挙を目前に控えるプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)
ロシア下院選挙を目前に控えるプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の政治的立場は現在、非常に強く見える。しかし、安定していると見える権威主義体制が突然崩壊するケースは少なくない。したがって、すぐには起こりそうになくとも、このシナリオを検討しておく価値はあるだろう。プーチン政権が急に打倒されたならば、日本にどのような影響が生じるだろうか。

 プーチン大統領は8月20日の記者会見で「ロシアは20世紀において、すでに十分な革命を達成した。これ以上の革命は望んでいない」と発言した。確かに現在のロシアでは、革命はもちろん、政府におけるいかなる変化も起こりそうにないように見える。しかし、9月17~19日に予定される下院選挙を前に、プーチン政権は運を天に任せることをしなかった。

統制をさらに強化

 プーチン政権は過去2年の間、ロシアの政治システムに対する統制をさらに強化した。最も明らかなのは、昨年施行されたロシア憲法の改正である。この改正により、プーチン氏は2036年まで大統領職を継続する可能性が出てきた。

 また、反プーチングループに対する抑圧を強めている。最も有名な反体制派の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は2020年8月、毒殺未遂事件に遭遇。ドイツの病院で数カ月治療を受け、2021年1月に退院してロシアに帰った後、すぐに逮捕された。今も、刑務所にいる。

 この国際的に悪名高いナワリヌイ氏への迫害は、実際には、政治的競争を防ぐためにプーチン政権が最近講じた措置の1つにすぎない。6月には、ナワリヌイ氏が設立した反汚職財団を「過激派組織」と認定してその活動を禁止した。

 また、ロシア政府は過去6カ月の間に、独立メディア組織MeduzaとTVRainを「海外エージェント」に指定した。この指定を受けた組織の活動には追加の制限が課せられる。また、この指定は、外国政府の利益のために活動していることを示唆するため、組織の評判に傷がつく。

 さらに、プーチン政権を支持しない政治家が9月の選挙に出馬するのを禁止した。出馬を禁止された政治家の1人に、パーヴェル・グルジーニン氏がいる。2018年の大統領選挙で、共産党の候補者としてプーチン氏に挑戦し、2位になった人物だ。

 プーチン大統領の支配力がさらに強くなっているときにプーチン政権の崩壊を考えるの不適切に思われるかもしれない。しかし、権威主義政権は、目に見える状態より不安定であることがよくある。例えばば、30年前の1991年12月に起きたソ連の崩壊を予測した人はほとんどいなかった。

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