
安倍晋三首相が辞意を表明しました。安倍氏はバブルが崩壊して以降、低迷を続けていた日本経済を立て直すという大きな実績を上げました。今回は安倍氏の経済政策について見てみます。
安倍氏の経済政策はアベノミクスと呼ばれます。アベノミクスについては「金融政策は効果があったが、それ以外はそれほどでもない。その金融政策も最初だけだった」といったコメントを見かけることがあります。しかしこれは間違った認識で、アベノミクスは様々な角度から日本経済に貢献したと思います。ここからは筆者がそう考える理由を説明します。
アベノミクスの7つのポイント
アベノミクスにはこれまでの日本の経済政策には見られなかった7つのポイントがあると筆者は考えています。その7つとは、
- 政権発足直後の財政・金融政策による景気浮揚
- 日本初のCEO型リーダー
- 日本企業を再生させたコーポレートガバナンス
- 観光立国は最も成功した成長戦略
- 賃上げへの介入
- 2度の消費税率引き上げ
- タブーへの挑戦
です。
第2次安倍政権が発足したときの日本経済は、リーマン・ショックや東日本大震災の後遺症などにより低迷が続いていました。これに対して安倍政権は果敢に財政出動や金融緩和を活用して景気の立て直しに成功しました。この、景気に対するスピード感のある対応がその後のアベノミクスの展開を可能にしたと言えます。
日本初のCEO型リーダー
第2次安倍政権が発足した当時、世界には、外遊する際に財界人を同行させ、訪問先で商談をまとめるリーダーが増えていました。例えば、ドイツのアンゲラ・メルケル首相や韓国の李明博大統領(当時)などです。こうしたリーダーをCEO型リーダーと呼びます。日本初のCEO型リーダー、それが安倍氏です。
CEO型リーダーには2つのメリットがあります。1つは商談がまとまりやすくなること。特に原発や鉄道などの大きなプロジェクトの場合、政府の支援がなければ民間企業だけでは受注はほぼ無理と言えます。
もう1つは 残り1857文字 / 全文2688文字 「おすすめ」月額プランは初月無料 会員の方はこちら 日経ビジネス電子版有料会員なら 人気コラム、特集…すべての記事が読み放題 ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題 バックナンバー11年分が読み放題この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
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