
「弁解の余地は全くない。我々は状況判断を完全に誤った。ドイツ連邦政府、同盟国、諜報機関はこのような状況を想定していなかった」。同国のハイコ・マース外相は8月16日、アフガニスタンでガニ政権が崩壊したとの報を受けて、判断ミスを率直に認めた。
同外相は「ドイツ政府も北大西洋条約機構(NATO)も、タリバンがこれほど速くカブールを手中に収めるとは、考えていなかった。我々はアフガニスタン政府軍がタリバンと戦うと思っていたが、それは完全な見込み違いだった」と語った。
独外相が判断ミスを告白
ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領はカブール空港の混乱を見て、「恥ずかしくなるような映像だ」と発言。各国政府が、タリバンが権力を奪取する前に、秩序立った救出活動を始めていなかったことに苦言を呈した。
タリバンがアフガニスタンの地方都市を次々に占領していたにもかかわらず、メルケル政権は8月11日ごろまで、同国からドイツおよびアフガニスタンの民間人を移送する策について具体的な検討を始めていなかった。ドイツの対外諜報機関・連邦情報局(BND)がメルケル政権に対して「タリバンのカブール侵攻は早くても9月末」という見方を伝えていたからだ。だがカブールのドイツ大使館はベルリンの外務省に対して、現地の状況が急速に悪化していることを数週間前から報告していた。
例えばカブール駐在のヘンリク・ヴァン・ティール副大使は8月13日付の報告書の中で「我々は本省に対して、直ちに行動を取るように数週間前から要請していたが、今週になってようやく救出計画を検討し始めた」と記している。
このためドイツのメディアの間で「現地の状況が切迫していることをメルケル政権が正確に把握しなかったために、初動が遅れたのではないか」という見方が浮上している。連邦議会の外務委員会で8月19日に行われた公聴会で、マース外相は救出準備が遅れた理由を明確に説明することができなかった。野党からは「連邦政府の危機対応は完全な失敗だった」として、同外相の辞任を求める声が上がっている。
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