このように、今回のコロナ後の景気回復局面では財政出動が中国経済における需要を刺激し、良好な日中関係も追い風となって、日本企業に大きな恩恵をもたらすと考えられます。

 1つ注意しておくべきは、この恩恵にはタイムリミットがあることです。中国経済は25年前後に大きな変曲点、すなわち成長率の下方屈折局面を迎えます。25年頃までは、現在の高度経済成長期の最終局面が継続します。しかし、それ以降は、インフラ建設、不動産開発、住宅建設といった高度成長を牽引してきた需要が減退するでしょう。加えて少子高齢化の影響も出て、中国経済は1980年代以来40年以上続いた高度成長期の終焉(しゅうえん)を迎えます。30年代以降の安定成長期に向かって成長率の低下が加速し、経済の不安定化に苦しみ始めることになると考えられます。

 もちろん、だからと言って中国市場の重要性が低下するわけではありません。30年には、その経済規模は日本の4倍ほどに達しているでしょう。のみならず、ハイテクや高品質のサービス産業など日本企業が強みを発揮しやすい様々な産業分野において新たな需要が増大します。

 中国にとっての25年前後は、日本に当てはめれば1970年代の後半に相当するでしょう。その後日本は80年代後半以降、バブル経済の形成と崩壊を経て、一気にゼロ成長に落ち込みました。バブルがはじけなければ90年代以降も3~4%は成長できたでしょう。中国は日本のバブルをよく研究しているので、バブルをはじけさせることなく、鈍化しつつも2~3%の実質成長率を継続させると見ています。

トヨタの黒字を中国市場が下支え

個別の企業に目を向けたときに、注目する動きはありますか。

瀬口:トヨタ自動車がすでに中国経済回復と日中関係改善の恩恵をこうむっていると見ています。4~6月期の決算を見ると、純利益が1588億円。減益ではあるものの、他社が軒並み赤字を計上する中で健闘しました。

 その主な要因は中国市場での販売台数回復が収益を下支えしたことです。

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