中国の主要大都市では、飲食店などへの客足が戻っていない(写真:AFP/アフロ)
中国の主要大都市では、飲食店などへの客足が戻っていない(写真:AFP/アフロ)

中国経済は2022年4~6月期、大きく失速した。実質GDPの成長率は前年同期比0.4%。新型コロナウイルス禍が始まった直後の20年4~6月期(マイナス6.8%)に次ぐ低水準だ。中国政府が通期目標に据えた「5.5%前後」の達成はほぼ不可能となった。下期はいかなる展開となるのか。カギを握るポイントは3つある。

瀬口清之キヤノングローバル戦略研究所研究主幹(以下、瀬口):今回は、中国経済の現状と展望についてお話したいと思います。

 中国政府が、2022年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率を前年同期比0.4%と発表しました。エコノミストなどによる直前の一般的な予想「同1.0%前後」より低い値でしたが、それほど大きな驚きでありませんでした。5月まではマイナス成長を見込む声もありましたから。

瀬口 清之(せぐち・きよゆき)
瀬口 清之(せぐち・きよゆき)
キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 1982年東京大学経済学部を卒業した後、日本銀行に入行。政策委員会室企画役、米国ランド研究所への派遣を経て、2006年北京事務所長に。2008年に国際局企画役に就任。2009年から現職。(写真:加藤 康、以下同)

 22年下期を展望する上でポイントとなるのは、(1)新型コロナ感染症の推移、(2)不動産市場の動向、(3)消費者や企業が持つ今後の成長への期待、の3つです。(1)と(2)が不透明なので先の見通しが立たない状況にあります。(1)と(2)が(3)に影響し、それが消費と投資を左右します。

 はっきりしているのは、中国政府が22年通期の目標に据えた「5.5%前後」の達成はほぼ不可能になったことです。GDP成長率の目標を達成するために、足元の経済をなりふり構わずてこ入れする考えは中国政府にないからです。李克強(リー・クォーチャン)首相は7月19日、世界経済フォーラムのビデオ対話の中で、「高すぎる成長目標を達成するために、大型の景気刺激策や過剰な通貨供給を実施することはない」と表明しました。21年12月の中央経済工作会議で決めた「従来通りのマクロ経済調整と構造改革を進める」との方針は揺らいでいません。

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