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G20首脳会議。トランプ米大統領をはさんで並ぶトルコのエルドアン大統領(左)とサウジのムハンマド皇太子(右)(写真:Abaca/アフロ)

 中東では今も新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。だが、このままでは経済がもたなくなると判断したためか、どこも一様に経済再開の方向にかじを切っているようである。日本では、東京の1日の新規感染者数が100人を超えたといって、再び緊急事態宣言かと大騒ぎになっているが、中東では感覚が一桁違う。

 現在、中東で新型コロナウイルス感染者の累計数が多いのは、上からイラン、サウジアラビア、トルコの順番になっている。イランの場合、第1号が2月19日で、最初のピークは3月末ぐらい。その後、徐々に減少し始めたものの、5月初めから再び増加に転じ、6月4日には3574人という1日の最高値を記録した。その後再び減少を始めたが、6月中ごろから2000人台半ばで高止まり傾向を示している。

 一方、トルコは、最初の感染者が見つかったのが3月10日と比較的遅いものの、その直後から新たな感染者発見が相次ぎ、4月11日には1日の新規感染者数で最多となる5138人を記録した。その後、感染者数は下降傾向を示しているが、ずっと、累計感染者数で中東における不名誉な1位の座をイランと競り合っていた。5月20日に1000人を割って以降はだいたい1000人程度で推移しており、イランとの差が開き始めている。

 サウジアラビアでは3月2日に最初の感染者が確認された。イランやトルコと異なり、以後しばらくの間、感染者数の急激な増加は見られなかったものの、4月半ばぐらいから1日の新規感染者数が増え始め、5月半ばから末にかけて一時的に減少したものの、5000人近くにまで急増した。現在も3000人程度で推移している。

 つまり、1日の新規感染者数でみると、サウジアラビアはイランの1.5倍近く、トルコの3倍近くいるのだ。感染者数の累計で、サウジがイラン・トルコ両国に追いつくのも時間の問題とされていたが、とうとう7月4日に20万人を超え、翌7月5日にはトルコを抜いてイランに次ぐ第2位(世界で13位)となった(ちなみに7月5日の発表では、イランは23万7878人=世界11位、サウジアラビアが20万5929人、トルコが20万4610人=世界14位)。

 ただし、累計死者数に目を転じると、この3国のなかでイランが最も多く1万1408人、次いでトルコの5206人、サウジアラビアは1858人となっている。サウジ政府にとって、深刻度はイラン・トルコよりはるかにマシであろう。死者は少なく、感染者の多くが外国人労働者と考えられている。また、サウジアラビアの場合、イラン・トルコと比較して検査数が多いので、その分、感染者数が多く出る傾向もあるだろう。数値を一概に比較するのは難しい。特にイランの場合、数字の信ぴょう性について疑問が出ている。

 しかし、この3国が新型コロナウイルス感染者数で中東のトップを競うというのは、象徴的と言える。現在、中東のさまざまな紛争にこれら3国が直接あるいは間接に関わっているとされるからだ。