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護衛艦を派遣する場合の任務と法的根拠について「国際平和支援法」に基づく後方支援を提供する可能性はありますか。安保法制の一環として、新たに制定された法律です。アフガニスタン戦争の際、日本は特別措置法を制定して、インド洋において多国籍軍に給油を実施しました。国際平和支援法はこうした措置を恒久法で定めるものです。

国際平和支援法1条
 この法律は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの(以下「国際平和共同対処事態」という。)に際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

香田:今回のケースにはなじまないと思います。今回の有志連合の目的はあくまで、ホルムズ海峡周辺の安全確保と航行秩序の維持です。武力攻撃が目的ではないので、国連安保理決議を必ずしも必要とする措置ではありません。もちろん、あった方が好ましくはありますが。

 他国の部隊への給油などの支援措置があり得るとしたら、ペルシャ湾に艦船を派遣するものの資金がなく燃料の確保に困る国を支援するケースでしょう。その場合は、特別措置法を制定し、物品役務相互提供協定(ACSA)*を締結した国を支援できるようにすることになると思います。

*:自衛隊と他の国との間で物資や役務を融通しあう取り決め。食料、燃料、弾薬などの物品や、輸送、医療などの役務が対象。安全保障・防衛協力をスムーズに実施し、協力の実効性を高めることが狙い。国連平和維持活動(PKO)や共同訓練、大規模災害における協力を想定している。

日本の船舶を守ることに専念するなら、「仲介」に悪影響はない

安倍首相が6月にイランを訪問し、米国・イラン間の緊張を緩和すべく仲介に乗り出しました。9月の国連総会で、イランのロウハニ大統領と再び会談することを検討し始めています。

 米国が主導する有志連合に参加すると、仲介者としての中立を放棄しているようにイランからは見えるでしょう。仲介に支障をきたしませんか。

香田:リスクはあります。だからこそ、自衛隊の護衛艦は日本の船舶を護衛することに専念すべきです。この点を明確にする。それでもイランは日本の姿勢を難詰するかもしれません。しかし、日本の自衛隊が日本の船舶を護衛するのは当たり前のことです。クレームを付けられる筋の行動ではありません。

 加えて、有志連合の目的がホルムズ海峡周辺の安全確保と航行秩序の維持であることを明瞭にすべきです。イランに攻め込む意図のものではない、と。ダンフォード氏の現在の言動だけでは不明瞭です。日本の外務省はこの点で努力する必要があると思います。